「埋め立てる場合に環境大臣の許可が必要になる」

〜三番瀬ラムサール条約登録で県がホンネ答弁〜



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 (2009年)6月29日の6月定例千葉県議会予算委員会で、ラムサール登録問題について、県の渡邉吉郎自然保護課長がすごいことを言いました。
 ラムサール登録が進まない理由として、「国指定の鳥獣保護区特別保護地区になると、水面の埋め立てとか、建物等の建設など、一定の行為は環境大臣の許可が必要になる」をあげたのです。
 ホンネを漏らしたという感じです。

 以下は、丸山慎一議員(共産党)と県幹部のやりとりの一部です。


丸山議員と県幹部のやりとり




◎「埋め立てなど一定の行為は
  環境大臣の許可が必要になる」

◇丸山慎一委員
     環境省は三番瀬をラムサール条約登録の候補リストに載せていて、積極的に登録しようという立場だ。県も関係市もラムサール条約への登録を推進すると言っている。漁協も、船橋漁協は推進決議をあげた。市川市の2漁協も反対というわけではないようだ。だれも利害関係者の中で反対をしていないのに、なぜ登録ができないのか。どこに障害があると考えているのか。

◆市原環境生活部長
     三番瀬のラムサール条約登録は、地元関係者の合意が必要だ。現状では、早期登録を望む声がある一方、また、登録は時期尚早であるという声もある。

◇丸山慎一委員
     利害関係者の中で、登録反対は1人もいないのではないか。

◆渡邉自然保護課長
     市川市の2漁協(市川市行徳、南行徳)は「三番瀬の再生が先だ」と言っている。
     また、県議会での議論や、漁場環境の改善を望む地元漁業関係者からの要望など、さまざまな意見がある。

◇丸山慎一委員
     いま課長が言った漁場再生は、ラムサール条約登録と矛盾するのか。

◆渡邉自然保護課長
     ラムサール条約に登録される場合は、その前提として国指定鳥獣保護区の特別保護地区に指定される。そうなると、たとえば水面の埋め立てとか、建物等の建設など、一定の行為は環境大臣の許可が必要になる。

◇丸山慎一委員
     課長、それはたいへんな答弁だ。埋め立てとか建物をつくるとか、「漁場再生」と称して三番瀬でそんなことをするつもりなのか。だとしたら、重大な問題だ。
     県が進めている漁場再生はラムサール条約登録と矛盾しない、というのが県の公式答弁だったのではないのか。

◆渡邉自然保護課長
     ラムサール条約登録については、「早期に登録すべき」という意見もあるし、「時期尚早だ」という意見など、さまざまな意見がある。

◇丸山慎一委員
     全然、質問に答えていない。課長も「矛盾する」とは言えないわけだから、矛盾はしないということだ。
     漁協の方々がラムサール条約登録にいろんな不安をもっているのは、そのとおりだと思う。それを乗り越えて三番瀬の登録を一歩進めるためには、実際にやってみてラムサール条約登録が漁業や漁場再生と矛盾しないといことを示すことが一番有効な方法だと思う。しかも、船橋漁協は船橋側だけでも登録してもらいたいと言っている。
     そこで、船橋側の段階的登録についてどのように考えているかを知事に伺いたい。

◆渡邉自然保護課長
     ラムサール条約登録は、地元関係者などの合意のもとで、最終的には国の判断で行われる。環境省では、段階的登録は例がなく、また、そのようなことを検討するにしても、前提としてやはり地元関係者などの合意が必要になると述べている。

◇丸山慎一委員
     前例がないからやれないということにはならない。また、三番瀬全体の登録に合意がないのと、段階的登録に合意がないのとは、まったく違う話だ。合意がないだろうということでやらないというのは、おかしい。
     知事は選挙中、「ラムサール条約への登録を実現する会」のアンケートに対し、第1段階として船橋海域の部分登録に賛成すると答えている。この答えは今も同じなのか。知事に直接聞きたい。

◆渡邉自然保護課長
     森田知事は、そのアンケートについて、人と自然との再生という意味で答えていると認識している。

◇丸山慎一委員
     関係課長が知事の公約の説明をしてどうするのか。森田知事がアンケートに「賛成」と答えているので、「今でもそうですか」と聞いている。森田知事以外は答えようがないはずだ。知事自身が答えてほしい。

◆森田知事
     (自然保護課長が)いま答えたとおりだ。


■「第二湾岸道路は必要な道路」

◇丸山慎一委員
     森田知事もストレートじゃない人だ。きちんと答えたほうがいい。
     私は、県がラムサール条約登録に積極的になれない理由は第二湾岸道路の問題があると思っている。
     そこで伺いたい。第二湾岸道路を建設するために、(人工)干潟を造るなど、三番瀬に手をつけるようなことはしてはならないと思うが、その意思はどうなのか。

◆森田知事
     三番瀬は、東京湾の奥に残された貴重な干潟、浅海域であると認識している。また、第二東京湾岸道路も、湾岸地域の抜本的な渋滞対策などのために必要な道路であると考えており、今後、事業者がルートや構造などを決める際には、三番瀬再生計画を一つの制約条件として検討されるものと考えている。

*          *

 以上です。

 県幹部の答弁は次のことをあらわしています。
     三番瀬がラムサール条約登録湿地になると、第二湾岸道路を三番瀬に通せなくなる。この道路用地は、三番瀬で中ぶらりんになっている。だから、猫実川河口域(三番瀬の市川側海域)を「三番瀬再生」や「漁場再生」の名で人工海浜(人工干潟)にし、その造成工事の際に沈埋(ちんまい)方式で第二湾岸道路を通す。ラムサール条約登録は第二湾岸道路を通したあとにすればいい。
 ──ということです。
 今回の答弁は、そういう従来からの県の方針をよりわかりやすい形で言いあらわしたものです。




2001年に白紙撤回された101ha埋め立て計画の主目的は第二湾岸道路だった











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