高速道路はこれ以上必要ない

〜市民団体が外環道・第二湾岸道のシンポ〜



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 東京外郭環状道路(外環道)に反対している団体や、干潟・浅瀬「三番瀬」の保全にとりくんでいる市民団体が(2006年)6月10日、市川市内で「外環道と第二湾岸道は必要か〜市民からみた道路問題」と題するシンポジウムを開きました。開催したのは、外環反対連絡会や千葉県自然保護連合、など11団体でつくる実行委員会です。

 最近、外環道の県内ルートと第二東京湾岸道路(第二湾岸道)をめぐる動きが活発化しています。外環道については、国土交通省首都国道事務所が「外かん道路千葉県区間有識者懇談会」と称する会を発足させました。これは、賛成派の学識経験者や団体ばかりを集め、外環道(県内区間)の建設促進をめざすものです。

 一方、千葉県は、三番瀬を通る計画になっている第二湾岸道の早期事業化を政府(国交省)に要望しつづけています。第二湾岸道は外環道とつながる計画になっており、首都圏の「3環状9放射道路ネットワーク」の一環をなすものです。
 シンポでは、こうした動きや問題点などが明らかにされました。


■首都圏環状道路は多すぎる

 最初に、首都圏道路問題連絡会の標(しめぎ)博重さんが「首都圏の環状道路問題」というタイトルで講演。
 標さんは、
     「公共事業費は総額としては減少しているが、相変わらず高速道路などがあちこちで計画されている」
     「“3環状道路”とよばれているが、実際は、首都圏には環状道路が6つある。先進国の首都をみると、日本のように環状高速道路を6本も整備しようとするところはほかにない。日本も、6本は必要ない。6本の交通容量は1日あたり49〜55万台だが、需要をみると12万台程度しかない」
     「人口のピークは今年で終わり、今後は減り続ける。当然ながら、これにあわせて交通量も減る。こうしたことから、中央省庁の中では、今後は大きな道路はつくらず、既存ストックを有効活用すべきという検討もされている」
     「外環道についても、混雑の中身や、交通容量や需要のシミュレーションなどを国交省に説明させる必要がある」
 などと話しました。


■日本最大のジャンクションが三番瀬につくられる

 つづいて、ルポライターの高杉晋吾さんが「第二湾岸道路の問題点」と題して講演。高杉さんはこんなことを話しました。
     「構想では、8車線の第二湾岸道と4車線の東京外郭環状道路が合流する日本最大のジャンクションが、自然を守るために白紙撤回されたはずの三番瀬につくられることになっている」
     「そんな道路を推進しようとしている堂本知事の論理はひどいと思う。堂本さんは環境派の知事と思われているが、そういう論理をうちだすと、いったい環境派とは何なのかと言いたくなる」
     「巨大なる海中構築物(ジャンクション)を三番瀬のど真ん中に環境を破壊しないでつくることができるということを一瞬でも考えた人がいるとすれば、その人は人々の信頼を基礎にする民主主義の政治家として資格はない。ましてや、その人が“生物多様性”をとなえるなどということは驚くべきことだ」


■児童のぜん息発症率がますます高くなる

 討論では、市川市民から、
     「外環道の工事による震動がすごくて、とてもたまらない」
     「外環道工事で小塚山の森がズタズタに破壊されている」
     「市川市内の児童の喘息(ぜんそく)発症率は非常に高く、外国でも紹介されているほどだ。外環道ができれば、ますますひどくなり、市川市内では子どもを育てられない状況も生まれる」
 などの意見がだされました。


■三番瀬再生と第二湾岸道建設は矛盾

 また、千葉県議会「三番瀬問題特別委員会」の委員も、吉川洋議員(市民ネット・無所属市民の会)と村上克子議員(社民・県民連合)の2人が参加しました。

 吉川県議員は、
     「堂本知事は、三番瀬を再生しながら第二湾岸道をつくると言っているが、これは矛盾するものであり、みんな首をかしげている。知事は何を考えているのかを質したい」
     「自民党のホンネは第二湾岸道をつくることにあると思う。市川市議会では“第二湾岸道をつくるべき”という声が強いと聞く。こういう状況をふまえて対応することが必要である」
 村上県議は、
     「私個人は第二湾岸道は必要ないと思っている。そういう問題について、知事ははっきり話さない」
 などと話しました。

 このほか、「環境問題が人類の大きな課題になっているのに、外環道や第二湾岸道などをどんどんつくれというのはどういうことなのか。こういう恐ろしい問題を市民にどう訴えていくかが問われている」など、さまざまな意見がだされました。
 シンポを開いた実行委員会は、今後も調査や討論会、アピール活動などのとりくみを続けていくことにしています。

(2006年6月) 













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