第二湾岸道路をめぐって活発に討論

〜三番瀬フェスタ〜



トップページにもどります
ニュースのページにもどります
「第二湾岸道路」のページにもどります


 (2003年)8月6日から3日間、「豊かな自然をとりもどそう」をテーマにした「三番瀬フェスタ」が船橋市内で開かれました。
 最終日(8日)は、三橋福雄さんの報告「第二湾岸道路を考える」を受け、第二湾岸道(第二東京湾岸道路)をめぐって活発な討論がおこなわれました。その一部を紹介します。




討論要旨





■なぜ円卓会議で第二湾岸道を議論しないのか

◇高杉晋吾さん(フリーランス。埼玉県民)

     円卓会議で第二湾岸道を議論しないことについて、たいへん不思議に思っている。埋め立て計画と第二湾岸道は一体のものだった。したがって、埋め立て計画の白紙撤回を論じるのならば、第二湾岸道も論じなければならない。
     円卓会議がなぜ第二湾岸道を議論しないかについてはいろいろウワサがある。奇妙な不信感もかもしだしている。堂本知事は、一方では埋め立て計画を白紙撤回したが、他方では第二湾岸道は推進すると言われている。これは不可解な論理である。いったいどういう論理なのか、いっこうにわからない。
     第二湾岸道は、経済的や環境的に考えて道理がない。しかし、政治的な問題がかかわっているのかもしれない。堂本知事のまわりには与党が一つもないことなどから、苦しまぎれにしていることと私は思う。しかし、そうではなく、本心で第二湾岸道を推進しているのではないかという見方もある。苦しまぎれにしても、論理の通らないことはすべきでないと思う。
     第二湾岸道はいったいどういう形でどんな規模のものなのかを、堂本知事から県民に説明があってしかるべきだ。さらに、第二湾岸道は、三番瀬にジャンクション(合流部)がつくられ、外環道とつながる。
     T字型のそのジャンクションは、類似のものを調べたら14万数千m2の巨大なものになる。これは設計速度が時速60〜80kmである。第二湾岸道のジャンクションの設計速度は時速100kmということなので、単純に計算すると21万m2が必要となる。これが三番瀬につくられるのだ。それがどんな影響をもたらすのかもきちんと説明すべきだ。
     なぜ第二湾岸道が円卓会議で論議されないのかを、三橋さんにお聞きしたい。


◆三橋福雄さん(三番瀬円卓会議「護岸・陸域小委員会」委員)

     私は高杉さんほどはストレートに言えない立場にある。高杉さんの疑問は、誰もが思っていることだ。円卓会議は情報公開を売りものにしているのに、なぜ第二湾岸道が論議できないのかについて、多くの人が疑問に思っている。それで、賛成とか反対とか言う前に知識として共有すべきだと思い、嫌われることを覚悟で報告させていただいた。


■従来型公共事業の継続が悲劇を生みだしている

◇Bさん(千葉市民)

     高杉さんの話に全面的に賛成したい。三番瀬円卓会議ではいろいろ議論されているが、肝心なところが抜けているように思う。バブル崩壊後の日本は、右肩上がりが終わり、産業構造も大きく変わっている。
     にもかかわらず、なぜ第二湾岸道のような計画がいつまでも続き、変更されないのか。東京一極集中や都市計画、東京湾の環境などが問題にされているのに、その利益にあずかる人たちが従来型の公共事業を相変わらず続けている。ここに大きな悲劇があると思う。
     そういうことから、第二湾岸道の問題点を明らかにすることがいま強く求められていると思う。


◆三橋福雄さん

     第二湾岸道は千葉県だけの問題ではない。もっと大きな力が動かしていると思う。しかし、Bさんが話されたような問題は、円卓会議で三番瀬を再生しようとしていることにみられるように、変わりつつあるのではないか。私はそういうふうに思いたい。
     このフェスタも千葉県の予算でやっている。時間がかかってもよいから変えていこうというのがあるのではないか。


■今はよりよい再生計画をつくることが大切

◇佐野郷美さん(三番瀬円卓会議委員)

     円卓会議を発足する前の準備会では、第二湾岸道もとりあげなくてはならないだろうという話がでていた。しかし、堂本知事の意向もあって、第二湾岸道は脇におくことになった。しかし、ここにきて、第二湾岸道も議論したほうがよいという意見もでている。
     私はこう考えている。円卓会議は市民参加や完全公開という点で、全国的にもたいへんすぐれている。したがって、これは成功させなくてはならない。今は、円卓会議でよりよい計画をつくることが大切だと思う。
     私は、個人的には第二湾岸道がとりあげられないのは不満だ。しかし、外環道はできない可能性が大きいと思っている。第二湾岸道はそれ以上にむずかしいのではないかと思う。


◆Cさん

     私は、そこまでは甘くないとみている。新日鉄は、今も日本の政治に大きな影響力をもっている。その意向は強く動いている。要するに、敵は大物ということだ。それが表にでてこないから、なお怖い。
     また、そのような巨大プロジェクトをやめさせてまでラムサール条約の登録ができるのかと思う。たとえば先日、千葉県で植樹祭がおこなわれた。植えた場所は新日鉄の子会社(ジャパンデペロップメント)が買い占めた土地だ。県はこの土地を同社から借りて巨大開発をおこなった。しかし、じっさいに進出したのは2、3社にすぎなく、大部分の土地が空き地になっている。しかし、それでも、県は同社に年間数十億円を支払っている。
     さらに、千葉県の埋め立ては千葉県企業庁と三井不動産が共同で進めた。三井不動産の意思を無視しては物事が決められなかった。
     そういうことからすると、市民がいくらがんばっても簡単にはいかないのではないかというのが私の考えだ。といっても、あきらめているわけではない。


■第二湾岸道路は必要

◇Dさん(船橋市民)

     私はみなさんとは別の意見をもっている。私は政治的なバックはない。よりよい千葉県、よりよい日本となるよう願っている一市民である。
     私は第二湾岸道は前向きに、そして外環道は早く進めてほしいと思っている。あわせて、三番瀬ではよりよい計画をつくってほしいと思っている。
     私たちは、埋め立て地につくられた幕張新都心(千葉市)や東京ディズニーランド(浦安市)などを享受している。こういうものや、今の湾岸道路がなかったらと思うとゾーッとする。湾岸道路のおかげでマリンスタジアム(千葉市)で野球を楽しむことができる。東京へ行くのにも便利だ。東京湾アクアラインも親戚の家などに行くのにたいへん便利だ。三橋さんは、いろいろな企業の名前をあげて悪者のように言っている。しかし、そうした企業が世界に誇れるような技術を使って、それらのものをつくった。
     仮にこれらがないとすると、千葉県には住もうと思わない。日本を飛び出して中国の上海などにでも住もうかと思う。したがって、こういうプロジェクトについては、ネガティブでなくポジティブに考えてほしい。
     それから、不思議に思うのは、同じ埋め立てでも、なぜ千葉県側でやると反対が強いのかということだ。これは成田空港も同じだ。たとえば、羽田空港の拡張埋め立てについてはだれも反対しない。たとえば、神奈川県では、湾岸道路やベイブリッジなどがいろいろできているがだれも反対しない。
     神奈川県はたくさんプロジェクトがあって活気がある。高杉さんが住んでおられる埼玉県も立派なサッカー場ができている。このように、近県は一生懸命やっている。千葉県もがんばる必要がある。
     私は学校の先生をやっているが、生徒の就職先を見つけるのに非常に苦労している。子どもたちのために夢を残してやる必要があると思う。
     ところで、どうして千葉県では埋め立てをやると反対が起こるのか。羽田空港の拡張埋め立てに対してはなぜ反対が起こらないのか。


◆Eさん

     私も10年くらい前までは、Dさんと同じことを考えていた。経済が成長しないとダメだと思っていた。しかし、もうそろそろプラス指向ではなく、マイナス指向を考えることが必要ではないか。神奈川県と同じことを千葉県がやる必要はない。千葉県らしさをもてればよいのではないか。
     私は、なにも開発自体を悪いと言っているのではない。開発のウラで失ったものが多いと考えている。たとえば埼玉県の立派なサッカー場があげられたが、ワールドカップが終わったらどうするのか。利用者があまりいないので、たいへんなことになっている。オリンピックで立派な施設をいくつもつくった長野県も同じ状態だ。
     あと何年かたったら日本の人口は減少に向かう。お年寄りの多い街になる。そういうことをふまえた国づくりや街づくりがあってしかるべきなのに、なぜ終戦直後につくられた計画が今も続くのか。幕張新都心も売れない土地をたくさん抱えている。要するにハコモノで豊かになれるのかということだ。
     子どもたちに夢を残してやるという点だが、我々が子どもたちの夢を設定してあげる必要はない。そうではなく、夢をもてるような環境をつくってやることが必要だと思う。
     それから、羽田空港の拡張埋め立てには反対している人もいる。千葉県は、今まで反対がなかったのでここまできた。開発がどんどん進んだので、千葉県の財政は今、危機的状態になっている。


■千葉県は東京などにないものを考えていくべき

◇Fさん(市川市民)

     なぜ千葉県はうまくいっていないかということだが、県民への見返りを考えない開発が進められたからではないか。たとえば、幕張新都心をつくっても企業が思うようにやってこないのはそういうことだと思う。千葉県は東京や神奈川にないものを考えていけばよいと思う。
     なぜ円卓会議で第二湾岸道をとりあげないのかということだが、堂本知事の考えは、円卓会議は三番瀬という閉じた範囲の問題を検討してほしいということではないか。
     第二湾岸道を見直す際は、三番瀬以外の地域をどうしていくかも考える必要がある。したがって、非常に大きな問題につながっている。三番瀬の埋め立て計画が白紙撤回されたことをきっかけにし、東京湾全体の開発のあり方などを発展的に考えることが必要だ。その中で第二湾岸道を考えていかざるをいない。このように、なぜ第二湾岸道が円卓会議でとりあげないのかというのは、非常に単純な問題だと思う。


◆三橋福雄さん

     千葉県は今まで、住民の意見を聞かずにどんどん開発を進めてきた。これが問題だと思う。
     閉じられた三番瀬の範囲だけを考えればよいなどとは、我々円卓会議の委員はだれも考えていない。


■第二湾岸道の問題を生活者の視点から考えるとどうなる

◇Gさん(船橋市民)

     生活者の実感からいえば、船橋市は身近な生活道路の整備がたいへん遅れている。それなのに、2兆円もかけて第二湾岸道をつくる必要があるのかという問題がある。また、もし2兆円をだせる場合、それをすべて第二湾岸道につぎこんだほうがよいのか、それとも公共交通などに回したほうがよいのかという選択の問題だと思う。私だったら、2兆円をJRの電車代や最寄り駅までのバスの割引券配布に使う。


◆三橋福雄さん

     第二湾岸道を生活者の視点から考えていただければ、私が圧力を感じながら話したことはムダにならないのかなと思う。
(文責・千葉県自然保護連合事務局)
























★関連ページ

このページの頭にもどります
「ニュース」にもどります
「第二湾岸道路」にもどります

トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 |
資 料 | 干潟を守る会 | 自然保護連合 | リンク集 |