市川市の「塩浜地区まちづくり基本計画(案)」

 に関する意見

    〜千葉県自然保護連合〜




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 市川市の「塩浜地区まちづくり基本計画(案)」に対し、千葉県自然保護連合は以下の意見書を提出しました。
 市は、三番瀬・猫実川河口域の人工海浜化を提案しています。





 

意見書





2005年7月14日

 市川市役所街づくり部行徳臨海対策課 御中

千葉県自然保護連合 代表 牛野くみ子


「塩浜地区まちづくり基本計画(案)」に関する意見


 このたび貴市が発表した「塩浜地区まちづくり基本計画(案)」について、下記のとおり意見を提出します。


 「海にふれあえる護岸プラン」では、塩浜2、3丁目地先の海域で「干出域+干潟再生+石積」をつくることになっています。これは、三番瀬海域に土砂を入れて大規模な人工海浜(人工干潟)をつくるというものですが、次のようにたいへんな自然破壊となるものです。

1.三番瀬の生態系に大きな打撃を与える
     塩浜2、3丁目地先に広がる三番瀬海域(通称「猫実川河口域」)は、ドロクダムシ、ホトトギスカイ、ミズゴマツボ、ニホンドロソコエビなど、三番瀬の他の環境条件には存在しない底生生物が多く生息しています。アナジャコもたくさんいます。
     定期的に実施している「三番瀬市民調査」では、この海域で100種類以上の生き物が確認されています。千葉県のレッドデータブックに掲載されている絶滅危惧種も5種類が確認されています。また、新聞報道などでご存知と思いますが、約5000平方メートルにわたるカキ礁が存在し、多様な生き物の生息や水質浄化などに重要な貢献をしていることも明らかになっています。
     この海域は、三番瀬全体の環境の中で重要な役割を果たしています。生物多様性の観点からも、ここを保存することは重要です。そんな海域をつぶせば、三番瀬の生態系は大きな打撃を受けます。  したがって、この海域で人工海浜などをつくることはやめるべきです。

2.東京湾の漁業にも弊害をおよぼす
     塩浜2、3丁目地先の海域は、他の三番瀬海域とともに、“東京湾の子宮”の役割を果たしています。稚魚の育成場となっているからです。大潮の干潮時に、この海域にぜひ足を踏み入れて見てください。ハゼなどの稚魚がたくさん泳ぎまわっているのが分かるはずです。
     このように、この海域は、東京湾の漁業にとっても、なくてはらないない大切な場所となっているのです。もし、生物生産の重要な海域となっているこの海域を土砂投入でつぶせば、三番瀬全体のみならず、東京湾のほかの場所にも大きな影響をあたえるはずです。これは、諫早湾の干拓が、有明海全体の環境や漁業に大きな弊害をおよぼしていることでもわかります。

3.人工干潟は自然の干潟・浅瀬におよばないし、割が合わない
     これまで造成された人工干潟をみると、底質や生物多様性、水質浄化能力など、ほとんどすべての面で自然の干潟や浅瀬(浅海域)におよばないことが分かっています。また、台風時の波浪などにより土砂が流出し、絶えず土砂を補給しなければなりません。莫大な造成費のほか、造成後の維持にも年間数千万円が必要となります。 このように、費用対効果からみても、割が合わないものです。
 以上の理由により、塩浜地区の護岸やまちづくりのプランは、貴重な三番瀬海域をこれ以上つぶさない形にしてください。多種多様な生き物が生息する海域を市川市の誇るべき自然として保存し、それを活かす形でまちづくりを進めてくださるようにお願いします。
以上







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