「三番瀬・猫実川河口域は死んでない」

〜市民が三番瀬の調査。今後も調査を継続〜




トップページにもどります
「ニュース」にもどります
特集「市民調査」にもどります


 「三番瀬再生計画検討会議」(通称:三番瀬円卓会議)がスタートし、「三番瀬再生計画」作成にむけた論議が進められています。
 論議の焦点となっているのは三番瀬の市川側(猫実川河口域)です。ここをどうみるのか、すなわち、生き物がたくさんいる海域とみるのか、それとも「死んだ海」としてみるのか、また、環境が安定しているとみるのか、それともどんどん瀕死に向かっているとみるのか、が当面の最大の論点となっています。
 そこで、本当はどうなっているかを市民の手で継続調査することになり、3月2日にその第1回調査をおこないました。主催は、千葉の干潟を守る会、千葉県自然保護連合など7団体です。

 第1回調査は、底質、底生生物、潜水、鳥類、プランクトン、聞き取りの6つのグループに分かれて調査しました。参加者は45人です。


●ヘドロはない。悪臭もしない。

 底質、底生生物、プランクトンの3つのグループは、台船やボートに乗り、猫実川河口など6カ所で海底の泥や水中の魚やプランクトンなどを調べました。
 泥を採泥器で採取し、質やにおいを調べました。6カ所のいずれの泥も、ヘドロではなく、くさい臭いがまったくしない泥、あるいはシルト(砂と粘土との中間の細かさを有する土)です。  この海域を埋め立てて人工干潟を造成すべきと盛んに主張している市川市や地元漁協は、「猫実川河口域はヘドロが堆積し、環境が悪化している」と言っていますが、それは事実とまったくちがうことがわかりました。


●底生生物やカニ、ハゼなどをたくさん確認

 採取した泥を篩(ふるい)にかけると、ヨコエビやゴカイ、ホトトギスガイ、アサリなどの底生生物がたくさん発見されました。
 海水を網ですくうと、ミジンコやアミ類などが多くかかりました。これらは、魚の重要なエサとなっており、この海域が魚の大切な成育場となっていることを実感できました。
 潜水調査は「千葉県野鳥の会」の野崎さんが担当。水温14度の海に潜った野崎さんは、海底に無数の穴があることや、たくさんの稚魚が遊泳していることを発見しました。後日の調査で、この穴は巣穴であることがわかりました。野崎さんは、「ここを埋め立てて(人工干潟造成など)によって砂をかぶせたら、生き埋めになる」と語りました。
 また、海底ではイシガニやマハゼなども確認されました。


●3万6000羽のスズガモを確認

 鳥類グループは、この海域で、3万6000羽のスズガモ、380羽のセグロカモメ、87羽のハジロカイツブリのほか、ホシハジロ(50羽)、ハマシギ(30羽)、ヒドリガモ(15羽)、カンムリカイツブリ(8羽)など、多数の鳥を確認しました。


●周辺住民も「悪臭はない」と回答

 聞き取りグループは、周辺住民への聞き取りをおこない、33件の回答を得ました。この海域について悪臭を感じるかどうかを聞いたところ、ほとんどの人が「悪臭はない」と答えました。
 また、「海をこれ以上埋め立てることについては反対。景観をこれ以上こわさないでもらいたい」「廃船が海に放置されていることや直立護岸の鋼矢板が腐食していることについてまず対策を講じてほしい」などの声も聞かれました。


●「猫実川河口域は死んでいない」

 調査によって、この海域にゴカイ類やカニ、魚などがたくさん生息していることが確認されました。参加者からは、つぎのような感想が寄せられました。
「猫実川河口域を“死んでいる”とか“死滅に向かっている”と言っている人たちがいるが、そうではないことを実感した。埋め立てによる人工干潟造成からここを守りたい」
「生き物がけっこういるのには驚いた。海水をすくったらアミがいっぱいとれた。おどろくほどいる。カニの穴もいっぱいあった」
「くさい臭いはまったくなかった。ミジンコの類も多く、網でたくさんすくえた。マハゼも見られて楽しかった」
「三番瀬に来たのははじめてだが、海水の色からも“生きている”と感じた。マハゼ、スジハゼも健康なものと思われる。この時期に、また、この採り方で観察できたということは、この海域にはハゼなどがかなりいるものと思われる。参加させていただいてありがとうございました」
「なんでこんなに廃船が多いのだろうと不思議に思った」

 今回の調査結果は、3月10日に開かれる「三番瀬の保全をめざす集会」で報告します。また、次回の調査は4月28日(日)です。









6カ所の海底泥を採泥器で採取。








採取した泥を手で触ったり、においをかいだ。6カ所のいずれの泥も、ヘドロではなく、くさい臭いがまったくしない泥、あるいはシルト(砂と粘土との中間の細かさを有する土)である。








海水を網ですくってプランクトンなどを調査。








採取した泥を篩(ふるい)にかけると、ヨコエビやゴカイ、ホトトギスガイ、アサリなどの底生生物がたくさん発見された。








水中を網ですくうと、たくさんのアミがかかった。アミは魚の大切なエサとなっており、この海域が魚の大切な成育場となっていることを実感できた。








水温14度の海中に潜って海底や魚などを調べる「千葉県野鳥の会」の野崎さん。








きれいなスジハゼもいた。(撮影:青山 一さん)








体長15センチの立派なマハゼもいた。(撮影:青山 一さん)








元気なイシガニも発見。(撮影:青山 一さん)








海底で採集したオゴノリ。








マメコブシガニに赤ちゃんも発見。三番瀬では5、6月に多く見られる。(撮影:青山 一さん)








水中ではたくさんの稚魚が泳いでいた。(撮影:野崎 正さん)








海底にはたくさんの穴があいていた。後日の調査で、この穴はアナジャコの巣穴であることがわかった。撮影した野崎 正さんは、「ここを埋め立て、(人工干潟造成など)によって砂をかぶせたら、生き埋めになる」と語った。








報告会では、各グループの調査結果や感想、次回の調査方法などを話し合った。









★関連ページ

このページの頭にもどります
「ニュース」にもどります
特集「市民調査」にもどります

トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 |
資 料 | 催し物 | 自然保護連合 | リンク集 |