カキの自然史とカキ礁の豊かな生態系を学ぶ

〜三番瀬・猫実川河口域のカキ礁講演会〜



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 三番瀬の保全にかかわっている9団体(千葉の干潟を守る会、千葉県自然保護連合など)は6月18日、三番瀬・猫実川河口域のカキ(牡蠣)礁にかんする講演会を和洋女子大学(市川市)で開きました。参加者は90人です。


●カキがさかんに成育しているありさまをいろんな人にみてほしい

 講演会ではまず、カキ礁研究の第一人者、鎮西清高・京都大名誉教授が「カキ礁の自然史──カキの生活と進化」というテーマで講演。鎮西さんは、カキの歴史や生態などをくわしく説明し、マガキが猫実川河口域の泥の上で礁をつくって生息していることの謎を解き明かしてくれました。
 最後にこう述べました。
    「猫実川河口域のカキ礁は、まったく人の手が加わっていないカキ礁である。カキ礁研究の貴重な実験台になる。また、カキがさかんに成育しているありさまをぜひいろんな人にみてほしい。とくに、子どもたちに自然の元気の良さを感じてほしい」


●猫実川河口域のカキ礁は、豊かな生態系を支える“かなめの石”

 つづいて、三番瀬市民調査の会の倉谷うらら(高島麗)さんが、「カキ礁の生態系と生物多様性」というテーマで講演。高島さんは、綿密な調査結果にもとづき、猫実川河口域カキ礁の多様で豊かな生態系をくわしく話しました。カキ礁の大事な役割として、(1)すみかの提供、(2)直射日光から守る、(3)強い波から守る、(4)水質を浄化、(5)漁礁効果、(6)他の生き物に餌を提供している──の6点を説明しました。  そして、「地味で目立たない猫実川河口域のカキ礁は、“何の役にも立たない場所”どころか、豊かな生態系を支える“かなめの石”(Key stone=キーストーン)だったのです」と強調しました。


●猫実川河口域は現状のまま保全すべき

 二人の講演のあと、貝類保全研究会の山下博由さんが「三番瀬・猫実川河口干潟の貝類相の保全」、外環反対連絡会の高柳俊暢さんが「道免き遺跡(市川市)における牡蠣礁の出土状況」をそれぞれ報告しました。
 山下さんは、報告のなかで、こう述べました。
    「私は日本中の干潟を見てまわっているが、全国的にみても、まとまったカキ礁は10〜20カ所ぐらいしかないと思う。そういう数の少なさからみても、三番瀬・猫実川河口域のカキ礁は非常に重要である。その重要性があまり認識されていないのではないかと思っている」
    「猫実川河口域は、泥干潟の生態系が良好に保存された場所である。貴重なカキ礁や人為的に攪乱(かくらん)されていない遺骸群集も存在している。こうしたことから、この海域は現状のまま保全すべきである。もし覆砂がおこなわれたりすれば、泥干潟の生物群集は大きな影響を被ることになる」

◇           ◇

 質疑応答や討論では、カキの進化の歴史や生態、さらに猫実川河口域の保全について、さまざまな質問や意見が活発にだされました。カキの歴史や生息実態については、今回の講演ではじめて知ったという人が多く、「話を聞いて感動した」「カルチャーショックを受けた」などの声が参加者から多く寄せられました。

 以下は、講演会で確認されたアピールです。実行委員会の名で後日、千葉県知事に提出します。





三番瀬・猫実川河口域の保全を求めるアピール


 東京湾の海の幸は、江戸前の魚、とくに江戸前寿司などとして庶民の食を豊かにしてきました。しかし、東京湾の内湾は、臨海開発の名のもとに干潟や浅瀬が9割以上も埋め立てられてしまいました。そういうなかで、東京湾奥部に残された貴重な干潟・浅瀬「三番瀬」は、いまでも生き物の宝庫となっています。

「三番瀬は東京湾の魚や貝を育てる“生命のゆりかご”である。東京湾の漁業を守り育てるためにも、三番瀬を埋め立ててはならない」 「三番瀬は水鳥たちの貴重な餌場であり、休息地である。東アジアの渡り鳥を絶滅から救うために、三番瀬を埋め立ててはならない」 「三番瀬は東京湾の海水を浄化している、巨大な天然の浄水場である。東京湾をきれいな海として残すために、三番瀬を埋め立ててはならない」
 このような多くの人々の声が堂本暁子知事を動かし、2001年9月、三番瀬埋め立て計画が白紙撤回されました。

 そして最近、三番瀬の猫実川河口域に、天然のマガキが集まってできた「カキ(牡蠣)礁」のあることが三番瀬市民調査によって確認されました。このカキ礁は、広さが約5000平方メートルにおよびます。100種以上の生き物がいることも確認されています。多様な生物を支える「カキ礁生態系」が形づくられているのです。カキ礁はまた、水質浄化や消波の役割をはたしたり、稚魚の住み処(すみか)ともなっています。

 私たちは、本日の講演会において、カキ礁の大切な役割などを学びました。そこで、以下のことを堂本知事に要望します。
  1. 三番瀬の環境や海の生態系の調査を継続的に実施してください。現在実施中の「市川塩浜護岸改修工事に係る生物調査」については、市民調査の結果を反映させるとともに、市民調査との交流・協働を進めてください。
  2. 三番瀬再生計画検討会議(円卓会議)がまとめた「三番瀬再生計画案」では、「泥質である汽水域の生物が多数生息している猫実川河口域は、まず保全すべき」とされています。このことや貴重なカキ礁の存在などを再確認し、猫実川河口域は改変せずに保存してください。
  3. 三番瀬の保全・再生は、「現存する湿地の保全維持の優先」や「湿地復元における最終目標・目標・評価基準の明確化」などをうたったラムサール条約の「湿地復元の原則とガイドライン」に沿って進めてください。
  4. 人々の都合ばかりでなく、海からのメッセージに耳を傾け、自然との共存をはかってください。かけがえのない地球を、足元から大事にしてください。

 2005年6月18日

三番瀬カキ礁講演会実行委員会






 











90人が参加。カキの歴史や生息実態を今回の講演ではじめて知ったという人が多く、「話を聞いて感動した」「カルチャーショックを受けた」などの声が参加者から多く寄せられました。








鎮西清高・京都大学名誉教授








倉谷うらら(高島麗)さん








猫実川河口域に広がる約5000平方メートルのカキ礁








カキがタワー(塔)のように積み上がっている









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