丸山慎一議員が三番瀬問題を質問

〜2月定例県議会代表質問〜


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 (2011年)2月18日、2月定例千葉県議会の代表質問で丸山慎一議員(共産党)が三番瀬問題をとりあげました。
 丸山議員が「大規模な人工干潟の造成はやらないと宣言すべき」とただしたのに対し、県は「干潟的環境の拡大をめざしていきたい」と答えました。これは、猫実川河口域(市川側の浦安寄り海域)で「人工干潟」(=人工砂浜)の造成をめざすということです。
 また、「人工干潟」造成の真の目的となっている第二東京湾岸道路については、「本県にとって重要な道路である」と答えました。
 さらに、三番瀬のラムサール条約登録については、「早期登録を望む声がある一方、登録は時期尚早とする声があるなど、地元の意見がさまざまである」と答えました。

 以上は、三番瀬問題に関する質問と答弁です。


丸山慎一議員の質問


 次に三番瀬について質問いたします。

 昨年12月、三番瀬再生会議が廃止されました。6年間にわたって三番瀬について真剣な議論を進めてきた再生会議の廃止で、三番瀬に再び開発の手が加えられるのではないかと県民の中に新たな不安を広げています。
 再生会議廃止の狙いは、昨年9月議会で「行政が主体的にスピード感をもって取り組む」ためと知事自身が答えているように、県民の願いを振り切って、新たな開発への突破口を開くところにあるのは明らかです。
 そしてそれは、再生会議の後継組織の性格にも表れています。新たに設置すると言っている専門家会議は、再生会議のような諮問機関ではなく、助言機関とされており、「意見を聞きたいときだけ聞けばいい」という位置づけになっています。そこには、いままで再生会議に参加していた地域自治会の代表や環境団体、漁協などは入っていません。三番瀬ミーティングを開催するとしていますが、市民の側の意見を活かしていく仕組みはないため、意見の言いっぱなしになりかねません。
 再生会議を廃止したいま、県が三番瀬にたいして事業を行う場合には、代わりに作られる専門家会議にたいして、諮問機関であった再生会議と同様、必ず意見を求めるべきだと思いますが、どうでしょうか。また、地域自治会の代表や環境団体、漁協など、今まで再生会議にかかわってきた団体などからは、系統的に意見を聞く場を設けるべきだと考えますがお答えください、

 知事は、スピードアップといいますが、自然を相手にした事業は、時間がかかるのは当然のことです。再生会議でも、順応的管理の考え方にもとづいて、自然を壊しそうになったら逆戻りできるよう時間をかけて少しずつ手を加え、その都度、検証作業を行うという立場を確立してきました。
 昨日の答弁で、今後も順応的管理の方式を踏襲すると言われましたが、その場合、大事なのは検証作業です。いままでは、再生会議が行なってきましたが、あらためて県民も参加した検証の場を持つべきだと考えます。お答え下さい。

 もう一つ伺いたいのは、知事が「スピード感をもって取り組もう」としている三番瀬再生事業とは何なのか、ということです。最終的に、猫実川河口域の人工干潟の造成やそれを足場にした第二湾岸道路の建設だとしたら、保全を願っている県民に背を向けることになります。
 人工干潟については、市川市塩浜2丁目のごくわずかの区域で進める予定などといっていますが、広大な人工干潟の造成についてこれを否定する言葉は、いままで一度もありません。人工干潟が造成されれば、泥干潟の生態系は死滅します。しかも人工干潟に新たな生態系が現出する保証はどこにもありません。
 県民の不安を払拭(ふっしょく)するためにも、大規模な人工干潟の造成はやらないと宣言すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、市川側の泥干潟も、市民と親しめるようなさまざまな工夫が進むスタートラインに立つことができると思いますが、お答えください。

 第二湾岸道路も、浦安市と船橋市にいまある道路用地を使う限り、三番瀬に影響を与えないルートなどというものはありえません。
 湾岸地域の東京千葉断面の交通量が減ってきているいま、はじめに3環状9放射のネットワークありきの発想は止めて、第二湾岸道路の計画は中止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。少なくとも、県として現段階での必要性の検証をすべきだと思いますが、お答えいただきたい。

 いま、何よりも重要なのは、まずは、いまの三番瀬の自然を保全することです。そのうえで、可能であれば、少しでも昔のような自然を蘇らせることを考えるべきだと思います。
 そのためにもいま求められているのは、船橋側だけでもラムサール条約に登録することです。市川市も、全体の登録は時期尚早としていますが、船橋側の先行登録には異論はないと言っています。市川の自治会代表も、再生会議で同様の意見を述べています。船橋側だけなら、全体の合意を得る可能性が生まれています。ぜひとも県が決断して、来年のルーマニアでの締約国会議で船橋側の登録に向けて動くべきだと思いますが、答弁を求めます。


県知事・副知事の答弁


◇質問事項
     再生会議を廃止したいま、県が三番瀬にたいして事業を行う場合には、代わりに作られる専門家会議にたいして、諮問機関であった再生会議と同様、必ず意見を求めるべきだが、どうか。
◆森田健作知事
     専門家会議は、三番瀬の再生を進めていくうえで専門的な見地から評価・助言を得ることを目的にして設置するものである。学識経験者による科学的な知見が必要となる事項について、助言などをいただきながら事業を進めていきたいと考えている。
◇質問事項
     地域自治会の代表や環境団体、漁協など、今まで再生会議にかかわってきた団体などから、系統的に意見を聞く場を設けるべきだが、どうか。
◆森田知事
     三番瀬の再生にあたっては、地元の意見をよく聞きながらとりくんでいくことが重要であると考えている。このため、住民参加と情報公開のもとで三番瀬ミーティングを開催し、誰もが参加でき、意見を述べることができるようにしたい。
◇質問事項
     昨日の答弁で、今後も順応的管理の方式を踏襲すると言われたが、その場合、大事なのは検証作業である。いままでは再生会議が行ってきたが、あらためて県民も参加した検証の場を持つべきだと考える。これについてお答えいただきたい。
◆坂本森男副知事
     三番瀬再生事業については三番瀬ミーティングを開催し、誰もが参加でき、意見を述べることができるとともに、専門家会議において専門的な見地からの評価・助言をいただきながら事業を進めていきたい。
◇質問事項
     大規模な人工干潟の造成はやらないと宣言すべきだと思うが、いかがか。また、市川側の泥干潟も、市民と親しめるようなさまざまな工夫が進むスタートラインに立つことができると思うが、どうか。
◆坂本副知事
     三番瀬は東京湾に残された貴重な宝であり、県は地元市とともに三番瀬の再生・保全にとりくんでいきたいと考えている。
     その再生の一環として、市川市から、市川市塩浜2丁目の公園予定地前の親水護岸前面において、市民が親しめる海辺とするために干潟の再生を求めている。
     このため、現在とりくんでいる干潟的環境形成試験をひきつづき実施し、その結果について評価・検証しながら干潟的環境の拡大をめざしていきたい。
◇質問事項
     第二湾岸道路に関して、湾岸地域の東京千葉断面の交通量が減ってきているいま、はじめに3環状9放射のネットワークありきの発想は止めて、第二湾岸道路の計画は中止すべきだと思うが、どうか。
◆石渡副知事
     3環状9放射は、首都圏における骨格となる道路ネットワークであり、東京都心部に流入する通過交通などを適切に分散し、渋滞緩和に寄与するなど、さまざまな効果をもった、首都圏にとってきわめて重要な計画である。
     その一部を構成する第二湾岸道路は、本県の湾岸地域における慢性的な交通混雑の解消や沿道環境の改善に寄与することなどから、本県にとって重要な道路であると考えている。
◇質問事項
     第二湾岸道路について、県として現段階での必要性の検証をすべきだと思うが、どうか。
◆石渡副知事
     第二湾岸道路は現在、構想段階であり、今後、事業者が決定されたのちに、事業者によって事業の内容や費用対効果について評価されるものと考えている。
◇質問事項
     ラムサール条約登録について、市川市も、船橋側の先行登録には異論はないと言っている。ぜひとも県が決断して、来年のルーマニアでの締約国会議で船橋側の登録に向けて動くべきだと思うが、どうか。
◆坂本副知事
     三番瀬のラムサール条約登録は、地元関係者の同意のもとで、最終的には国の判断でおこなわれるものである。国は三番瀬について全体登録を進める考えであり、仮に船橋側を先行登録する場合であっても、全体登録について地元関係者の同意を得る必要があるとしている。
     三番瀬の全体登録については、早期登録を望む声がある一方、登録は時期尚早とする声があるなど、地元の意見がさまざまであることから、県としては、国の考えをふまえ、地元関係者の同意を得られるよう、地元4市と連携してとりくんでいきたい。


再質問と答弁


◇丸山議員
     市川側の泥干潟の部分の人工干潟造成について「やらない」という言葉は聞けなかった。それどころか「干潟的環境の拡大」に力をいれるかのような答弁だった。
     しかし、この海域は三番瀬の中で最も生物相が豊かである。市民調査の会のみなさんが毎月やっている市民調査などでは、動物195種、植物15種が確認されている。本当にすばらしい自然が残されている。県としてこの海域の豊かさを認めるのかどうかを確認したい。
◆坂本副知事
     猫実川河口周辺は泥質の干潟に適した生物が多く生息していることは事実だが、一方で、水質が悪いとか、アサリなどにとって好ましくないといった意見もある。いずれにしても、行政が主体となり、地元4市といっしょになって三番瀬の再生・保全をいっそう進めていきたい。





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