環境保護団体などをペテンにかけた千葉県

〜三番瀬円卓会議の合意を無視し、海岸保全区域を海に張り出して設定〜



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 「三番瀬再生事業の調査説明会」(2004年10月26日)で問題になった点のひとつは、海岸保全区域の設定です。

 県は今年の6月、海岸保全区域を現在の護岸の前面海域に20〜23mもはりだす形で設定しました。それも、こっそりと、です。これは、20〜23mも海にはりだして護岸をつくる可能性が強いことを示しています。

 この点について、円卓会議の委員を務めていた大浜清さん(千葉の干潟を守る会代表)がきびしく批判しました。
     「円卓会議の議論では、保全区域は陸側に設定し、海域は含めないということが合意されたはずだ。今回の県のやり方は、円卓会議の議論をまったく無視するものだ」


◆「海は海岸保全区域に含めない」が円卓会議で合意された

 大浜さんの批判はまったく正当です。海岸保全区域は、工業専用区域や工業地域の後背地に設定されていました。したがって、高潮に備えた立派な防潮堤が工業専用地域などの後背地に設置され、市民が住んでいる地域は高潮から守られていました。

 しかし、円卓会議の一部の委員は、海岸保全区域を工業専用区域などの前面(つまり水際線)に移し、そこに人工砂浜造成とセットになった防潮堤をつくることを強く主張しました。
 これは、県(事務局)が次のように主張したことを受けてのものです。
     「伊勢湾台風並みの高潮被害を避けるためには高さ8メートル(AP 8.0m。現在は AP 5.0m)の堤防を塩浜地区の前面につくることが必要である。しかし、沖合方向に300メートル(1:50の勾配)の人工砂浜を造れば6メートルの高さですむ」
 これに対し、三番瀬保全団体や大浜清さんらは強く反対しました。「市民が住む地域は立派な防潮堤で守られているので、海岸保全区域を水際線に移す必要はない」というものです。
 そこで、海岸保全区域をなんとしてでも水際線に移したいと考えていた委員は、新たな「理論武装」を考えました。
 倉庫や工場などとなっている工業専用区域で街づくり(再開発)が検討されている。その街づくりによって海側に公共用地を捻出し、その公共用地を海岸保全区域の一部として使えば、海に張り出して保全区域を設定する必要はない──というものです。

 こうして、「海岸保全区域は街づくりで生み出される公共用地も使いながら幅をもたせて設定することとし、海岸線は原則として前にださない」ということが合意されました。その合意が円卓会議(親会議)でも確認されました。
 このことを言いだしたのは、倉阪秀史委員(千葉大学助教授、環境アセスメント)です。倉阪委員はこれを何度も主張しました。一部をあげるとこうです。
     「海岸保全区域については、現在の水際線の位置に幅を持った形で設定する。『幅を持った形』というところがポイントでございまして、これは何を意味しているかといいますと、街づくりをすると、換地をしたり、保留地をしたりということで、公共用地が出てくるはずだと。この公共用地をできる限り海岸側に集めていこうと、そういった話がされていたところでございます。海岸側に公共用地を集めていけば、幅を持った形で治水ができるのではないかということでございまして、後ろのほうに何らかのマウンドをつくるとか、前のほうはできる限り海に親しめるような形にする。そういう幅を持った多段階で治水をしていこう、そこでできる限り連続性を確保していこうというような議論がされております」第12回「護岸・陸域小委員会」議事録より)

     「基本的な考え方としては、ある程度の街づくりをやって、その中で公共用地を捻出し、その公共用地を海岸側にかためることによって、これまで直立護岸だけで接していた海と陸とをできる限り連続性のあるような形で結んでいきたい、これが三番瀬の再生につながるのだ、というような方向で検討をしているつもりでございます。それがもう少しわかるような形で、後背地の土地利用のあり方についても納得していただけるような形で、さらに議論を詰めていきたいと考えております」第13回「三番瀬円卓会議」議事録より)
 これが護岸・陸域小委員会で合意になり、次のように第13回円卓会議(親会議)で報告されました。


◆県は、円卓会議の合意事項をまったく無視

 それなのに、県は、こうした円卓会議の合意をまったく無視し、海岸保全区域を現在の護岸の前面海域に20〜23mもはりだす形で設定しました。
 県は26日の説明会で、大浜さんの批判に対し、しゃあしゃあとこう答えました。
     「護岸の後背地は、今は個人(民間企業)の所有地となっている。個人の所有地を海岸保全区域に含めることはできない。一方、今の護岸の幅は7〜10mしかない。30mの幅をもたせるためには、これだけでは不十分なので、海域を20〜23m使わなければならない」
 この一点張りです。
 円卓会議「護岸・陸域小委員会」の委員を務めていた齋藤佐和子さん(一般県民、公募)も、「円卓会議の議論では、“これ以上海域を狭めない”ということが大前提になっていた」と批判しました。しかし、県は、これらの疑問や批判をまったく無視です。


◆環境保護団体などをペテンにかけた

 そして、先にお知らせしたように、この日の説明会で「市民の理解が得られた」とし、「護岸改修」の調査事業に直ちに着手することにしました。
 「護岸改修」というのは、海域の一部をつぶして石積み傾斜護岸などをつくり、その前面に土砂を投入するということです。
 要するに、県は、三番瀬保全団体や何人もの円卓会議委員などをペテンにかけたのです。このままでは、倉阪秀史委員らもそういうペテンに荷担したことになります。
 もし、この記述が「誹謗」とか「中傷」と言うのなら、自分が「三番瀬円卓会議」で発言したことと実際がまったく違った理由について、ぜひ説明してほしいと思います。








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