護岸・陸域小委員会の「合意事項」をめぐり

  ふたたび紛糾

   〜第13回三番瀬円卓会議〜




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 「三番瀬再生計画検討会議」(円卓会議)の第13回会合が5月29日、船橋市内で開かれました。簡単に報告させていただきます。
 この日の議題はつぎのとおりです。
(1)新規委員の選出
 ・後藤 隆委員(一般県民。公募による)
(2)小委員会の開催状況
 ・海域小委員会からの報告
 ・護岸・陸域小委員会からの報告
(3)専門家会議の検討状況
(4)再生制度検討小委員会
(5)今後の進め方
(6)国への2004(平成16)年度概算要求
(7)報告事項
 ・三番瀬シンポジウム




●漁場再生調査計画の実施保留に漁協委員が不満表明

 海域小委員会からの報告事項のうち、「漁場再生調査計画(案)」の実施保留について漁協委員からかなり強い不満や批判がだされました。
 同調査計画(案)はアサリの減耗原因についてのこれまでのデータや検討結果がきちんとふまえられていないし、また、円卓会議や海域小委員会でも議論がされていない、というのが保留の理由です。 前回の海域小委員会では、この点について、何人もの委員から疑問がだされ、保留となりました。

 この保留報告について、漁協委員が不満を表明しました。


◇田村 勝委員(千葉県漁業協同組合連合会常務理事)
「漁業者からみれば非常に残念なことだ。漁業者にとっては、アサリは大きな漁業資源となっている。それが三番瀬では大きく減っている。こういうことから、この調査に期待している。できるだけ早く調査が実施できるようにしてほしい」


◇滝口嘉一委員(船橋市漁協組合長)
「調査をするうえでは、時期とタイミングがある。先延ばしされると、やっても仕方がないということもある。だから、早く検討してほしい。そもそも、やってみないとわからない問題だ」


◇望月賢二委員(千葉県立中央博物館副館長、海域小委員会アドバイザー)
「(保留になったのは)海域小委員会で委員のみなさんの了解が得られなかったからだ」


●今回も、3点セットの「合意事項」をめぐって紛糾

 護岸・陸域小委員会からの報告では、前回の円卓会議と同様に、市川側護岸に関する3点セットの「合意事項」をめぐって紛糾しました。

〈護岸に関する市川ワーキンググループの3点セット「合意事項」〉
  1. 海岸保全区域を現在の水際線(海岸線)の位置に移し、幅をもった形で設定する。
  2. 護岸の高さは海に親しめるような高さ(6mくらいか)とすることを要望する。
  3. 自然再生の実験の場とする。

 これが「合意事項」として報告されたのに対し、大浜清委員(千葉の干潟を守る会代表)が異議を唱えました。


◇大浜 清委員(千葉の干潟を守る会代表)
「私は護岸・陸域小委員会の委員だが、海岸保全区域を今の海岸線に移すことについては異論を主張している。だから、合意事項としてまとめることについては納得できない。この点は前回の円卓会議でも述べ、岡島会長に同意してもらった。少数意見がある場合は、そのことをきちんと明記してほしい」

 この大浜委員の発言について、同小委員会の運営をリードしている倉阪秀史委員や同小委員会のメンバーがきびしく批判しました。


◇倉阪秀史委員(千葉大学助教授、護岸・陸域小委員会アドバイザー)
「大浜委員などの意見をふまえて、『三番瀬のあるまちづくり』を『三番瀬にふさわしいまちづくりをめざす』に訂正したりした。大浜委員が懸念されていることは前回の小委員会の議論の中で考慮されている。このように、これまでの議論をふまえてまとめられたものなので、合意事項でいいと思う」


◇岡本孝夫委員(浦安市自治会連合会会長、護岸・陸域小委員会コーディーネーター)
「市川WGと護岸・陸域小委員会では合意事項ということで理解してもらった」


◇清野聡子委員(東京大学大学院助手)
「海岸法が1999年に改正され、多くの方の合意をもって海岸のあり方を決めていく方向で進められている。したがって、三番瀬でも合意形成が必要になる。あとになって、“あれは無理やり押し切られたものだ”などという話がでないようにしてほしい。私の提案としては、多数の意見はこうであったと記載すると同時に、少数意見もきちんと書いてほしい。みんさんの気持はわかるが、慎重にやってほしい」


◇倉阪秀史委員
「“三番瀬にふさわしいまちづくり”について、今後、市川WGでさらに議論を深めたい。基本的な考え方としては、“まちづくり”によって公共用地を海側に捻出することを検討していきたい」


◇岡本孝夫委員
「この合意事項は、護岸・陸域小委員会で何回も一生懸命に議論し、その結果として了解されたものだ。それを“慎重に”と言われると我々はやりづらい」


◇清野聡子委員
「私は、みなさんがご努力されていることを承知したうえで意見を述べている。要するに、少数意見があったことを記載すればいいということだ。この問題は、文章の書き方ひとつで解決できることではないか」


◇大浜 清委員
「私が言いたいことは、清野委員が言われたように、少数意見は少数意見として記載していただきたいということだ」


◇滝口嘉一委員
「議論を聞いていると、時間の引き延ばしのようにみえる」


◇倉阪秀史委員
「少数意見を圧殺しているように言われるのは心外だ。大浜委員の意見をふまえて合意事項を書き直した。大浜委員もいったん納得したものをあとでむしかえされるのは、まさに“引き延ばし”と受けとめられても仕方がない。このあたりの議論のやり方については、もう一度考え直してほしい」


◇佐藤フジエ委員(市川商工会議所会頭)
「護岸・陸域小委員会は13回も会合を重ねてきた。前回の会合でもきちんと合意がされている」


◇本木次夫委員(船橋市自治会連合協議会副会長)
「私も護岸・陸域小委員会の委員をしているが、きょうの議論を聞いていると、小委員会がいい加減な議論をしているように聞こえる。『三番瀬にふさわしいまちづくり』の『ふさわしい』を入れるために何回も議論を重ねてきた。そのようにして、今回の合意にいたったものだ」


◇岡島成行会長(大妻女子大学教授)
「小委員会において、納得できるまで徹底的に議論してほしい。それをしないで、円卓会議の場で“私は納得していなかった”と言うのは、ルール違反だ」


◇磯部雅彦委員(東京大学大学院教授)
「私も護岸・陸域小委員会に出席していた。3点セットに全員が賛成していないのは事実だ。しかし、これでいこうと意思決定したということは確認していいのではないか。このように意思決定しないと次のステップに進まない」


 こうした議論の結果、岡島会長の意見のとおり、護岸・陸域小委員会で再び議論することになりました。

(文責・千葉の干潟を守る会)   







 

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