第二東京湾岸道路阻止に貢献

〜2019年三番瀬市民調査報告会〜



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 「三番瀬市民調査の会」は2019年12月14日、恒例の市民調査報告会を船橋市の道祖会館でひらいた。参加者は35人。2019年調査の概要、第二東京湾岸道路計画をめぐる動き、小規模湿原、東京湾の釣り事情、法政大学生のゼミ活動などについて講演・報告があった。質疑討論では活発に意見が交わされた。

◇      ◇

 2001年9月、三番瀬の埋め立て計画が中止になった。県はその後、三番瀬の浦安寄りに位置する猫実川河口域で人工干潟の造成をめざした。この海域に第二東京湾岸道路を沈埋方式で通すことが目的である。そのため、三番瀬保全団体は2003年に「市民調査の会」を発足させ、猫実川河口域の調査をつづけている。この海域の生態系の豊かさを証明してアピールすることが目的である。調査項目は生き物、カキ礁、アナジャコ巣穴数、酸化還元電位、塩分、透視度などだ。

 市民調査によって猫実川河口域に大規模なカキ礁が存在することがわかった。この海域は生物多様性が非常に豊かな海域であり「自然のワンダーランド」となっていることをデータによって証明した。これが大きな効果を発揮し、県は2016年10月、猫実川河口域における人工干潟造成計画を中止した。第二湾岸道路の建設もくいとめた。

 報告会の第1部では、今年の調査結果を各調査員が発表した。第二湾岸道路をめぐる最近の動きととりくみも報告した。国交省と県は第二湾岸道路の建設をあきめない。今年1月、国交大臣が「第二湾岸道路の建設に向けて検討会を発足させる」と表明した。三番瀬保全団体は、第二湾岸道路の建設を阻止するためにさまざまな活動をくりひろげている。

 第2部では、2013年から調査に参加している高田雅之さん(法政大学人間環境学部教授、日本湿地学会理事)が「小規模湿原(プチ湿原)を考える」と題して講演した。  日本は、多様な地形・気候と相まって、狭い国土に多様なタイプと様相の湿原を有している。その多くは低平地に位置し、人の暮らしと近い距離にあって常に撹乱や消失を受けやすい状況にある。環境省が2017年にまとめた重要湿地の現状によると、重要湿地の対象となった961か所のうち約55%の湿地が人為的要因によって悪化傾向にあるとしている。このうちの大半は規模の小さい湿地(プチ湿原)であると推察される。高田教授は、日本における多彩なプチ湿原を紹介した。そして、広島県の八幡湿原、滋賀県の山門湿原、北海道のキウシト湿原などいくつかの湿原を紹介し、地域の人々によるプチ湿原の保全のあり方を提起した。

 遊船協会の秋元一彦さんは、市民調査の参加者をカキ礁の近くまでボートに乗せてくださっている。秋元さんは「釣り人が見た東京湾」というテーマで講演した。これまで見られなかった大きな魚が幕張沖などで今年釣れるようになったことなどを話した。

 特別報告では、法政大学高田ゼミ生が「都市の自然をテーマにしたゼミ活動」を報告した。高田ゼミ生たちも2013年から市民調査に参加している。これまで調査に参加した法大生は実数で91人におよぶ。
 高田ゼミでは、2つのゼミ(合計約70人)が連携して2014年度以降、都市の自然をテーマとした自主的な課外学習(サブゼミ)をおこっている。2016〜18年度の3年間は、緑・水辺・生き物をテーマに都市の自然の魅力を掘りおこし、それをまとめて発信している。2019年度からは水辺班、緑地班、生物班の3つに分かれて活動をすすめている。今回は水辺班の活動について紹介した。

 質疑討論では、東京・お台場の海の汚染、治水対策としての遊水地の重要な役割などについて活発に意見が交わされた。報告会のあとは近くの居酒屋で懇親会である。大学生6人を含む23人が参加し、大盛況だった。








会場いっぱいの参加で盛りあがった三番瀬市民調査報告会=2019年12月14日、船橋市



法政大学高田ゼミ生の話を聞く参加者







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