「人工砂浜を造成するならば、河川から砂の自然補給が
  期待できないこの海域においては、波で流される砂を
  永久に人為補給しなければならず、牡蠣(カキ)礁を
  はじめ多様な生物が生き埋めとなることが明らかである」
     〜古井利哉さんが市川市に意見書〜




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 市川市の「塩浜地区まちづくり基本計画(案)」に対し、古井利哉さんが意見書を提出しました。
 この計画案は、三番瀬・猫実川河口域に土砂をいれて人工海浜をつくるという提案です。うたい文句は、「海辺の空間を活かしたまちづくり」「三番瀬の原風景の再生」などです。



意見書





 市川市街づくり部行徳臨海対策課 御中

古井利哉


「塩浜地区まちづくり基本計画」について

 このたび「広報いちかわ」(6月25日号)紙上に発表された表題のプランについて下記の通り意見を述べたい。


 「海にふれあえる護岸プランを県に要望していきます。」という囲みの中で、「護岸についての要望事項」として5項目にわたる記述があるが、これについて問題点を指摘したい。


(1) 護岸の高さは出来るだけ低く抑える。
     本項について特に異論はない。

(2) 護岸を低く抑えるために海側と陸側での対策を検討する。
     ここでは「護岸を低く抑えるためには、緩やかな傾斜をつけたり、平らな場所を最大限確保する必要があります。」とあるが、(4)ならびにイメージ図で示されたような石積み護岸と人工干潟を造成することを企図するならば、大いに問題である。
     なぜならば、塩浜2丁目・3丁目の沖合いには最近クローズアップされた広大な牡蠣礁の存在や、その他アナジャコをはじめ多種多様な生物が息づいていることが市民調査により確認されているからである。
     人工砂浜を造成するならば、河川から砂の自然補給が期待できないこの海域においては、波で流される砂を永久に人為補給しなければならず、牡蠣礁をはじめ多様な生物が生き埋めとなることが明らかである。

(3) 護岸部分に三番瀬にふれあえるプロムナード空間を確保する。
     「海に直接ふれあえる護岸整備」は必ずしも石積み+人工砂浜に限定する必要なく、現護岸+階段や現護岸をセットバックする形での傾斜護岸など多様な選択肢がある。

(4) 三番瀬の原風景を再生する。
     人工砂浜が生物の生存にそぐわないことは既に立証されている。
     従って形だけの無機質な「原風景」を造成することはまったく無意味であって、生物多様性の保存と再生を主眼とした「三番瀬の原風景」こそが求められなければならない。

(5) 陸側の塩害防止のための護岸整備
     強風時など海岸はそもそも塩害を免れることは不可能であり、その地域の工場や住民はもとより覚悟しているはずである。
     塩害防止のためという名目で、護岸の高さや沖合いまでの人工砂浜造成の必要性を主張するとしたら、本末転倒といわざるを得ない。
以上







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