沖縄環境ネットワークからのメッセージ


沖縄大学 宇井 純

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 遠くはなれた沖縄から日本を見て、祈るような気持ちで念ずることは、自然を切り売りして小銭にかえて食いつぶすことを、もうここではっきりやめて、つましく自然の恵みを受けて生きてゆこうという約束です。自然のはたらきを調べれば調べるほど、その精妙さにおどろき、とても人智の及ぶところではないと感嘆いたします。干潟の営みもその一つです。

 ここ沖縄でも、わずかばかりの補償金に眼がくらんで、売れもしない工業団地や、金食い虫の下水道処理場のための埋立計画がすすめられています。その予算をまかなう公共投資の原資は国民の税金か郵便貯金、いずれにせよ国民が汗水流した金を、役人と政治家が私腹を肥やすようにバラまいた金です。その金が山を伐採し、上を洗い流し、海を埋め、沖縄の繊細な自然を切り売りして、将来の可能性を狭めてゆきます。

 昨年あれほどさわがしかった米軍の基地問題も、日本政府の思いやり予算がなくなれば、自然に米軍は本国に引きあげるのです。日本の納税者がはっきり自分の税金の使い方に政治的意志を表明すれば、問題の大部分が自然に解決するという構造をもっています。
 今のところは、あちこちで個々ばらばらに地域住民が抵抗している形をとるかもしれませんが、これが全国的に横につながる時は、日本をこれまで思うままに食いつぶしてきた政官財の被支配構造が潰れる時であり、その芽は各地で地方自治体に出ており、あとはそれをどう横につないでネットワークを形成してゆくかです。このメッセージも昨年の日本環境会議で形成された沖縄環境ネットワークから送ります。

 下水道については、19世紀の排除、20世紀の処理の機能を経て、ようやく21世紀におけるその役割が、処理水の利用にあることがおぼろげに見えてきました。その新しい立場からすると、大量の下水を集めて利用せず、流してしまう流域下水道の処理場などは、万里の長城以上に無用の長物になります。計画の修正こそが、明日の水利用のために有効な住民運動の目標になります。ここでも既存の硬直化した路線がかえって負担になることが明らかになりました。分散化と多様化が一つの進歩の尺度になるでしょう。それぞれの分野でこうした変化が用意されているのではないでしょうか。所見を持ち寄ってみる必要がありそうです。

 自然を復元し、さらに創造につないでゆく大切な現場の一つが干潟です。そのはたらきは深く調べればそれだけ貴重さがはっきりするでしょう。ようやく陸と海の定常的な物質循環の大切さが気づかわれるようになり、陸上の生物の大部分が、海からの養分で支えられていることがわかりかけたところです。
 これからももっと多くの人に理解してもらい、支援を仰ぐよう力をあわせてゆきましょう。

(1997年5月)




千葉の干潟を守る会の会報『干潟を守る』第68号(1977年5月発行)に掲載



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