新たな段階を迎えた「三番瀬」

三番瀬を守る署名ネットワーク  竹内壮一



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 私たちの強い要請にもかかわらず、また委員の中からも審議の継続を求める声が出ていたにもかかわらず、計画策定懇談会は昨年(1999年)12月末、事実上打ち切られた。
 そして2月28日、千葉県は101ヘクタールもの大規模な三番瀬埋め立て計画を県環境会議(会長:林雄二郎・前東京情報大学長)に報告した。県環境会議は県が提出した101ヘクタールの三番瀬埋め立て計画を下部組織である「環境調整検討委員会」(委員長:白鳥孝治・(財)印旛沼環境基金水質研究員)で検討し、この委員会での検討結果を踏まえて環境会議としての「見解」をまとめるとしている。

 策定懇談会が事実上打ち切られたとき、林雄二郎会長は、環境会議では「(環境会議の)提言がきちんと履行したかどうかが最大の議論となる」と語っているし、沼田真委員は「埋め立てが7分の1になったから『それでいいよ』という簡単なものじゃない。環境への影響は明らかなんだから、埋め立ての必要性が議論になるはずだ」と語っている(『朝日新聞』千葉版、1999年12月26日)。
 環境会議のメンバーは12人、学識経験者6人と住民代表3人、産業界代表3人(環境会議になぜ緒方太郎元千葉緩行頭取などの産業界代表が3人も加わっているのかがどうしても理解できないが)によって構成されている。環境会議はその設立の趣旨からいっても、公共事業による環境破壊と投資効果について、市民の意見に十分耳を傾けてチェックする機能を発揮しなければならない。
 そして3月2日、環境調整検討委員会が開催された。委員会は実質的な審議を行わず検討対象とする枠組みを決めて、委員会内で「勉強会」を持つことを決めたという。
 14人の環境調整検討委員のうち、10人は海洋生物や水質などの自然科学関係の専門家であり、補足調査専門委員会の望月賢二委員長も委員に含まれている。
 補足調査委員会が専門家としての見識に基づいて三番瀬海域の環境の重要性を指摘する報告をおこなったように、環境調整検討委員会も専門家として見識のある検討結果を示すことが求められている。

 ところで、この間、日本自然保護協会、日本野鳥の会、世界自然保護基金日本委員会の3団体がきわめて説得性のある「三番瀬埋め立て計画(市川二期地区・京葉港二期地区)の根本的見直しと三番瀬保全に関する意見書」を県知事と千葉県環境会議会長宛に提出した(2月10日)。また、私たち三番瀬を守る署名ネットワークも2月24日、環境会議会長に対する「要請書」と知事・企業庁長に対する「抗議声明」を提出した。
 さらに三番瀬埋め立て問題にかかわる行徳漁業への事前の事実上の漁業補償問題が大きな問題としてクローズアッフされてきた。千葉県議会では、この問題をめぐって「調査特別委員会」を設置する要求が出されている。
 環境調整検討委員会での検討内容、それを踏まえた環境会議の「見解」がどのようなものになるのか、さらに行徳漁業への事前漁業補償問題、いま三番瀬問題は新たな段階を迎えている。
 私たちは101ヘクタールの大規模な埋め立て計画の「白紙撤回」をめざし、30万人署名の達成に向けて一段と活動を強めていく決意である。

(2000年4月)   






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