【三番瀬円卓会議傍聴記】

「補助金確保」優先が生んだ “ヒズミ”

〜再生計画素案の9月策定を急ぐ円卓会議〜

千葉の干潟を守る会 竹川未喜男



トップページにもどります
「主張・報告」にもどります
「三番瀬円卓会議」にもどります


■「住民参加」は先細り

 去る5月29日に13回目の三番瀬円卓会議が船橋で開かれましたが、傍聴者は県や市のスタッフより少ないようでした。「中間まとめ」への市民意見は棚ざらしにされています。市民調査のアンケート結果や、「1年といわず、じっくりと議論を」という世論も、ただの参考として扱われています。こんなことでは、「住民参加」の先細りも当然のなりゆきです。
 最近の会議ラッシュには、委員をはじめ事務局まで音をあげているようです。三番瀬再生計画作成の日程は、「平成15年度中の再生計画策定」(1月計画案提出)を前提にし、国の補助金を確保するための予算スケジュールから逆算してつくりあげられたものです。各小委員会のワーキンググループ(WG)は、具体策を5月中に小委員会に上げ、小委員会はその結論をすり合わせ、9月には円卓会議として第一次素案を策定するというわけです。
 この日はそうした要請を受けて、「海域小委員会」(略称「海域」)と「護岸・陸域小委員会」(略称「陸域」)の両小委員会と専門家会議から進行状況が報告され、本年度予定されている調査や事業、策定された再生計画の遂行を保障するための仕組みづくり(再生制度検討小委員会)、計画をスムースに実施させるための平成16年度国への概算要求など、目白押しの形で論議されました。
 これまでの会議をふりかえりつつ、私が感じた円卓会議のヒズミについて述べたいと思います。


■海が見えない? 陸側の街づくり

 「海域」「陸域」の両小委員会の取り組みのアンバランスが目立ちました。例えば「陸域」の市川塩浜ゾーンでは、塩浜まちづくり協議会の「街づくり計画」との妥協の産物として、次の3点をセットとして同時解決しようということになりました。
  1. 海岸保全区域を現在の海岸線に移す。
  2. 護岸の高さは6メートルくらいにする。
  3. 自然再生の実験の場とする。
 協議会の考えは、地権者として、埋め立て中止による街の整備計画の目論見を用途地域の変更による地価の引き上げで埋め合わせたいというものです。しかし、肝心の「海にふさわしい街づくり」の構想の方は秋頃になるとのことです。これでは話になりません。
 まず埋め立て中止の手当、つぎに環境悪化の改善だという「再生の概念」を協議会の方々が忠実に主張されているわけです。3月21日開催の専門家会議でも、このいわくつきの「再生の概念」があらためて議論されました。このことは、「中間とりまとめ」にある「再生の概念」の内容は間違いでした、と自ら認めたことになります。
 いずれにしましても、将来を見すえて、“三番瀬と向き合った”街づくりを提案してほしいものです。


■いまだに公表されない海域現況調査

 一方、「海域」の方ではもっぱら、生物多様性、水の浄化、海と陸の連続性、それを断ち切るコンクリート護岸問題など、「自然の価値」をベースに、イメージ図が描かれ、盤州干潟の視察(5/1)や行徳湿地の調査(4/6)、古老漁師からの聞き取り(5/30)などが精力的に取り組まれています。
 「海域」での各種調査は「再生」検討の基礎データとなるものですが、全般に遅れています。昨年度実施した海域の現況調査は目下、解析を外部に委託中で、いまだに発表されません。青潮、アサリ、アオサ、アマモをはじめ、河川、放水路、人工干潟、猫実川河口などの調査も、多くは今後の計画になっています。


■「海域」と「陸域」にまたがる重要な問題が残されている

 「海域」と「陸域」にまたがる重要な問題が残されています。「陸域」からは、「潮の流動に関わる提案」が「海域」に検討が依頼され、また「護岸形状が海域に与える検討について」という課題 が専門家会議にふられました。
 今回の会議では、「独自に海から見た内容を早急に検討する」と望月委員が述べられました。最大の問題は、河川流域WGです。「陸域」の方では手がいっぱいというので「海域」に回されてきま したが、担当委員が決められても短期間にどこまでできるのでしょうか。身近な河川流域、沿岸の市民、企業、漁業活動にとって大事な問題です。
 海の浄化には避けて通れません。東京湾規模にも目を向けなくてはなりません。河川WGは委員がようやく決まったというところです。


■漁業問題が急浮上、問われた再生への貢献

 漁業問題が浮上してきました。今年の漁場異変や高瀬下水処理場からの汚水被害(5/19)。市川WGで出された塩浜突堤への漁港移築(水産用地埋立て)要求(4/23)、アサリの減耗原因をめぐって再検討とされた本年度漁場再生調査計画に関しての抗議(5/19)、再生制度検討委員会(県条例、ラムサール登録)に関連して、漁業活動に支障をきたさないとの保障要望など、常にストレートな意見が出されてきました。
 今回は、清野聡子専門家委員から漁業代表へ、「海に詳しいからぜひ多くの情報を出してほしい」「漁業者の目でどう三番瀬の再生に貢献するのかご検討願います」という注文がされました。これにはまったく同感です。


■拙速を避け、有能な専門家に機会と時間を

 最近の円卓会議で感じることは、超多忙な中で会議を消化しておられる委員の活躍ぶりです。しかし、優秀な委員の方といえども到底、知事のいう「千葉方式」によって懸案の作業をクリヤして計画をスケジュールに合わせることは至難でしょう。その対策こそ緊急かつ重要な課題だと思います。
 拙速を避け、手順を追った運営が望まれます。「三番瀬再生」につぎつぎと馳せ参じてこられた、良心的な専門家はじめ、公募委員の方々が時間と機会に恵まれ、悔いない仕事ができるよう、 “市のサポート”を考える必要があると思うのです。

(2003年6月3日記) 





三番瀬のイシガニ




このページの頭にもどります
「主張・報告」にもどります
「三番瀬円卓会議」にもどります

トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 |
資 料 | 干潟を守る会 | 自然保護連合 | リンク集 |