三番瀬を保全し、次世代へ引き継ごう!

〜三番瀬保全市民交流集会〜




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 三番瀬を守る署名ネットワーク、千葉県自然保護連合、千葉の干潟を守る会など三番瀬保護8団体は(2006年)9月24日、「つぶしていいのか三番瀬」と題する三番瀬保全交流集会を市川市内で開きました。


■“自然再生”の名で浅海域をつぶす動き

 最初に、三番瀬を守る署名ネットワークの田久保晴孝代表が主催者を代表し、「三番瀬では、“自然再生”という名で浅海域をつぶす動きがつよまっている。これが日本の主流かもしれないが、そうさせないためにがんばりましょう」とあいさつ。


■いまある干潟や浅瀬をつぶして人工干潟をつくることは許されない

 つづいて、 (1)三番瀬再生事業(護岸改修工事、人工干潟、漁場再生)、 (2)ラムサール条約登録、(3)第二東京湾岸道路、(4)猫実川河口域の保全、の4点について、保護団体のメンバーから報告がありました。

 「県が進めている三番瀬再生事業はいろいろと問題が多い。たとえば、海をつぶしての護岸改修工事は、護岸沿いのマガキ群など多数の生き物を死滅させるのに、そうした生態系の問題がいっさい配慮されていない。環境予測では、石積み傾斜護岸の建設によって、潮間帯の面積が増大し、マガキ群やウネナシトマヤガイが最定着するとされている。しかし、そんなことが本当に実現するという確かな見通しはない。また、順応的管理によって護岸工事を実施するとされているが、その内容は、よりよい形の護岸にするということであって、生態系保護の視点はない」

 「すでに自然が失われた場所で人工干潟の造成を試みることはけっこうだが、いまある自然豊かな干潟や浅瀬をつぶして人工干潟をつくることは許されない」


■生物多様性は議論にならない

 「三番瀬漁場再生検討委員会の委員構成をみると、猫実川河口域(三番瀬海域の一部)の人工干潟化を主張しているメンバーが大半を占めている。したがって、“漁場再生”という名でこの海域の人工干潟化が検討されている。議論内容をみると、アサリやノリのための委員会という感じで、生物多様性は議論にならない」

 「いま残っている干潟や浅海域を保全するためには、その担保としてラムサール条約に登録することが必要だ。大勢の市民に訴え、早期登録を求める署名をたくさん集めたい」


■根底に第二湾岸道路計画

 「埋め立て計画が撤回されたのに、海をつぶしての護岸改修工事や人工干潟造成などがでてくる根底には、第二湾岸道路をなんとしてでも三番瀬に通したいという思惑がある。この道路は首都圏道路ネットワーク計画に組み込まれたものであり、たいへん大きな問題だ。これをつぶすのは容易ではない。しかし、開発側も、どうやって三番瀬を通すかということで躍起になっている状態だ」


■猫実川河口域は多種多様な生き物が生息

 「焦点となっている猫実川河口域について、市川市や自民党県議などはヘドロの海と言っている。しかし、市民調査によって、そうでないことが実証されている。酸化還元電位調査では、酸素の供給が不十分で還元的な底質環境となっている地点が局所的にあるが、大半の地点はプラスの値となっているいる」

 「市民調査では、この海域は、アナジャコなど多種多様な生き物が生息しており、魚介類の産卵場や稚魚の成育場となっていることも確認されている」

 「千葉県は開発至上主義と決別できていないようだ。環境に配慮する程度では、三番瀬の自然環境は保全できない。人為的な改変を抑制していく勇気が必要である」


■三番瀬を保全し、次世代へ引き継ごう

 報告のあとは討論です。県・市川市・漁協などの思惑や動き、保全運動の積極推進などについて参加者から意見が活発にだされました。
 最後に、「三番瀬を保全し、次世代へ引き継ごう」という名のアピールを採択しました。
 以下は、そのアピール文です。

(2006年9月) 





アピール



三番瀬を保全し、次世代へ引き継ごう
〜市民交流集会からのアピール〜


 私たちは本日、「つぶしていいのか 三番瀬」(三番瀬保全交流集会)へ参集し、千葉県が進めている「三番瀬再生事業」に関連する主要な課題について報告を受け、意見などを交流しました。

 三番瀬は、2001年9月に堂本知事が三番瀬埋め立て計画を撤回し、多くの市民が「これで三番瀬は救われた!」とホッとしたものでした。

 しかし、千葉県は進めている「三番瀬再生計画」のうち、「市川護岸改修工事」「人工干潟」「漁場再生」「ラムサール条約の登録」「猫実川河口域の保全」を見ても、三番瀬の保全どころか「再生」の名による三番瀬の生態系を壊す工事やラムサール条約登録の引き延ばし、さらに第二湾岸道路計画の推進などによって、これらは三番瀬の保全、真の「再生」にはほど遠いものになりつつあることが明らかになりました。

 三番瀬は、「現在残っている干潟・浅海域を保全するという原則」を基本にして、保全と真の「再生」を市民ととともに進めようではありませんか。
 そして、東京湾に残された貴重なこの三番瀬を次の世代へ引き継ぎましょう。

 2006年9月24日

「つぶしていいのか 三番瀬」(三番瀬保全市民交流集会)参加者一同









討論の結果、アピールを採択




県は、「再生」という名で三番瀬埋め立て計画の復活をめざしている。
その目的は第二湾岸道路を猫実川河口域に通すことである。
「三番瀬再生」という名で人工干潟を造成する際に
沈埋(ちんまい)方式などで道路を埋め込む、というのが県の考えと言われている。
人工干潟の下に道路が隠れるので、
「三番瀬再生」と第二湾岸道は整合するというわけである。






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