わずかに残された干潟・浅瀬を守ろう

〜千葉の干潟を守る会が30周年記念集会〜




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 千葉の干潟を守る会は(2001年)4月21日、船橋市の海神公民館で結成30周年集会を開きました。「干潟を守る日2001」参加行事としても位置づけられたこの集会には100人近くが参加しました。

 まず、後援団体を代表して日本湿地ネットワーク(JAWAN)の柏木実氏があいさつ。柏木氏は、「千葉の干潟を守る会は、国民が干潟にあまり関心をもたない頃から干潟を守る運動を活発に進めてきた。敬意を表するとともに、感謝を申し上げたい」と述べ、自然破壊・財政破綻の元凶となっている公共事業の見直しがいま強くさけばれていることや、JAWANの活動内容などを話しました。

 千葉の干潟を守る会の大浜清代表は、30年間におよぶ同会の活動内容を話しました。30年前は埋め立て推進の時代で、東京湾沿岸の干潟は片っ端から埋め立てられたこと。そういう状況の中で、1971年から習志野・幕張地区の埋め立て反対運動を進めたこと。72、73年に「東京湾の干潟保全と埋め立て中止」を求める国会請願をし、それが第68、71国会で採択されたこと。習志野・幕張の埋め立ては阻止できなかったが、長年にわたる運動の結果、谷津干潟を守ることでき、1993年にラムサール湿地登録を実現したこと──などを話しました。
 そして、三番瀬保全については、1992年に埋め立て反対の意見書を提出したのをはじめ、県環境会議への提言、シンポジウムや集会の開催、埋め立て計画白紙撤回を求める署名などさまざまな活動を進めてきたことを述べました。
 大浜代表は最後に、「千葉県の東京湾岸は片っ端から埋め立てられたが、この埋め立ては、三井不動産などの関連大企業を大儲けさせ、関係政治家の私腹を肥やしたが、県民生活の潤いには結びついていない」と強調しました。

 つづいて、加藤真・京都大学助教授が「汀線の自然史」というテーマで講演。加藤氏は、日本のさまざま渚(干潟)がもっている機能や、その渚がどのような状況におかれているかについて、スライド映写を用いてくわしく話してくれました。そして、次のような点を強調しました。

  • 江戸時代の浮世絵をみると、東京湾には広大で豊かな干潟が存在していたことが描かれている。また、同時代に発行された「釣りガイドマップ」には、江戸の町の内湾や河口にたくさんの魚が生息していたことが描かれている。(その浮世絵や「ガイドマップ」をスライドで映写)
  • しかし、今の日本の干潟は誠に残念な状況のおかれている。その象徴は諫早湾である。干潟の重要な機能の一つは水質の浄化機能であるが、そうした機能をもつ干潟をつぶしたことで、有明海は大打撃を受けた。ちょっと考えれば、そうなることは分かるはずなのに、諫早湾閉め切りを強行した。これは愚行としかいいようがない。
  •  全国各地で、干潟を埋め立ててその先に垂直護岸がつくられている。波が垂直護岸で打ち返される際に、砂も持っていってしまうので、砂はどんどん削られる。そこで、「養浜工事」と称して、護岸の先をコンクリートで固めたり、テトラポットをたくさん置いたりしている。これはバカげたことである。
  •  干潟や浅瀬は、いったんつぶしてしまうと、完全にもとに戻すことは不可能である。だから、今ある貴重な干潟などはつぶさないほうがよい。日本の干潟は大部分が埋め立てなどで破壊されてしまった。これ以上、つぶさないようにすることが大切である。
 講演後の質疑討論では、いま大問題になっている諫早湾や有明海の水質改善策や、「海の再生」などをうたい文句にした人工干潟(海浜)造成の問題、干潟・浅瀬保全の大切さをより多くの人に知ってもらうこと、などについて活発に意見が交わされました。



集会の概要


千葉の干潟を守る会 創立30周年記念

「干潟を守る日2001」参加行事


講演会「汀線の自然史」



●日 時  2001年4月21日(土)13時30分〜16時30分

●場 所  船橋海神公民館(船橋市内)

●講 師  加藤 真氏(京都大学助教授) 
          講演者紹介:駿河湾に育つ。 
               京都大学大学院 人間・環境研究科助教授。 
             著書 『花に引き寄せられる昆虫』平凡社 
                『日本の渚』岩波新書  ほか 

●主 催  千葉の干潟を守る会 
  
●後 援  日本自然保護協会、世界自然保護基金日本委員会 
      日本湿地ネットワーク、千葉県自然保護連合 

●協 力  三番瀬を守る署名ネットワーク、三番瀬を守る会 
      市川緑の市民フォーラム 










千葉の干潟を守る会の30年間の活動を報告した大浜清代表。大浜代表は、「干潟がつぎつぎとつぶされたことで、東京湾の水質はものすごく悪化した。これが今、有明海でもくり返されている。諫早干潟をつぶしたために有明海の環境は破壊されつつある」などと述べ、「これ以上、干潟・浅瀬をつぶしてはならない」と強調した。








「汀線の自然史」というテーマで講演した加藤真・京都大学助教授。加藤氏は、日本各地や韓国の干潟のすぐれた機能や現状をスライドで紹介するととともに、干潟をつぶすことがいかにバカげた行為であるかを分かりやすく話してくれた。








集会には100人近くが参加。講演後は、わずかに残された干潟の保全策や、人工干潟(海浜)造成の問題、諫早湾・有明海の浄化策などについて活発に質問や意見がだされた。













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