人工海浜の無残な姿にア然

〜「幕張の浜」見学会〜




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 市川市で三番瀬保全活動をつづけている「市川三番瀬を守る会」は2014年11月9日、人工海浜「幕張の浜」を見学しました。

砂を補給してもことごとく流出

「幕張の浜」は千葉市美浜区の幕張新都心の海岸部にひろがっています。千葉県が1979年2月に造成しました。延長は1820メートルです。238万立方メートルの砂で埋め立てて造成しました。当時としては全国最大規模の人工海浜でした。海水浴シーズンは毎年、10万人近い人出でにぎわいました。
 ところが、波の作用で侵食が激しく、砂は絶えず流出です。毎年のように砂を補給しても流出がつづきます。
 1998年11月28日の『読売新聞』(夕刊)はこう報じています。
    《千葉市美浜区の人工海浜「幕張の浜」が、波や風による浸食で今年も無残な姿に変わってきた。海水浴シーズンを前に毎年、数千万円をかけて大量の砂が補給されているものの、砂浜の傾斜が急なためか、砂の流出はやまず、秋以降はやせ細る一方。(中略)冬を前にした今、千葉マリンスタジアム近くは、海岸線がざっくりえぐり取られ、南東に連なる浜も、砂が流出した跡を示す2本の段差が、海岸線と平行にくっきりと。(中略)同庁幕張新都心建設課によると、海浜への砂の補給量は、90年以降、年平均約1万2000立方メートル。10トントラックで2500台分だが、砂はことごとく流され、すでに数億円が波とともに消えた。》
 1990年度から1999年度までの10年間に補給された砂の量は9万9300トン(立方メートル)、整地費は6億4400万円です。
 しかし、砂をいくら補給、整地しても、ことごとく流されます。そこで、企業庁はついに1999年度で砂の補給をやめました。翌2000年度、海水浴場も閉鎖しました。
 浜の維持費は1979年度から1999年度までの21年間で44億円です。


“自然の脅威に人知は及ばない”の見本

 その後も侵食がつづいています。なだらかだった浜に崖(がけ)ができています。ひどいところは崖の高さが2メートル以上におよびます。
 その光景をみた参加者はア然です。こんな声がだされました。
    「“自然の脅威に人知は及ばない”ということの見本だ。県が三番瀬海域の市川側でめざしている人工干潟造成は、同じ失敗を繰り返すことになる。消費税を上げても、そういうムダな事業をつづけたら意味がない。私たちの税金を海に捨てるようなものだ。はらわたが煮えくりかえる思いがする」

    「幕張の浜の波打ち際は底生生物やケイソウがあまり見られない。底生生物をエサとする水鳥は1羽もいなかった。三番瀬の干潟と大違いだ」

    「県企業庁が『人工干潟は失敗例が多いんですよ』と語っている新聞記事も初めて見た。県はなぜそういう反省や教訓を活かそうとしないのか。三番瀬での人工干潟造成はやめるべきだ」

 県は三番瀬の市川側で人工干潟造成をめざしています。今年度、その検討事業を実施中です。「市川三番瀬を守る会」は人工干潟造成をやめさせるための運動をつづけています。この日の見学会を今後の運動に活かすことにしています。







幕張の浜を歩く参加者



侵食によって高さ2メートル以上の崖(がけ)ができている







洗掘防止のマット(網袋に捨て石を詰めたものやコンクリートマット)がむき出しになっている。
そのうしろには砂の流出を防ぐためのコンクリート擁壁が設置されている。







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