「全国一汚れた川」を見学

〜三番瀬に流入する春木川〜



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 三番瀬保護団体のメンバーは(2007年)7月28日、三番瀬に流入する河川を見学しました。春木川と国分川、真間川、海老川です。


■三番瀬流入河川は非常に汚れている

 三番瀬に流入する河川は非常に汚れています。市川市内を流れる春木川(真間川水系)は全国ワースト1、国分川(同)は全国ワースト3です。船橋市内を流れる海老川もたいへん汚れています。
 千葉県が発行した『平成18年版 環境白書』でも、三番瀬に流入する川はすべて“汚れのひどい川”とされています。



 ・とても汚れている……春木川(市川市)
 ・汚れている……………国分川、真間川、大柏川(以上、市川市)、海老川(船橋市)



 千葉県内の河川で「とても汚れている」とされているのは春木川だけです。
 また、千葉県真間川改修事務所が発行している『平成19年度 事業概要』でも、「真間川水系は、BODを指標として水質汚濁状況では、県内で最も汚濁が進行している水系」と書かれています。


■下水道整備の遅れが原因

 なぜそうなっているかというと、流域の下水道普及率がたいへん低いからです。三番瀬沿岸の普及率(2005年3月末現在)をみると、市川市は64.6%、船橋市は54.2%であり、全国平均(69.3%)と比べてみてもかなり遅れています。このため、三番瀬に流入する河川には生活雑排水が未処理のまま大量に放流され、川がものすごく汚れています。
 三番瀬の環境保全で早急に手をつけなければならないのは、こうした阻害要因を取り除くことです。しかし、県はそれをやろうとしません。「三番瀬円卓会議」(2002年1月〜04年1月)や「三番瀬再生会議」(円卓会議の後継組織。2004年12月〜)でもこの議論はタブーになっています。「三番瀬の保全・再生の方策を検討する」としながら、三番瀬流入河川の浄化をまったくといってよいほど議論しないのです。そればかりか、流入河川をいちども見たことがありません。
 これだけをみても、「円卓会議」や「再生会議」がどういうものであるかがわかるでしょう。「三番瀬再生」の名による公共土木工事が主目的であって、三番瀬の環境保全は二の次、三の次です。


■外環道と絡む下水道整備の遅れ

 河川を見学してみると、汚れのヒドさがわかります。とくに春木川は、あちこちで生活雑排水が放流されています。市川市や県は、春木川の上流部分に水質浄化施設を設置していますが、下流部で雑排水が垂れ流しです。
 市川市は、春木川が全国ワースト1になっていることについて、『広報いちかわ』(2007年6月16日号)でこう弁解しています。
    《春木川は、稲越から須和田付近までを流れる長さ約2.2キロメートル、川幅5メートルほどの小河川です。自然水源がほとんどなく、流れる水の大部分は流域の家庭の台所、トイレ、風呂などからの生活排水で、「全国一汚れた川」の最悪のレッテルを張られました。》

    《生活排水から河川を守るために、公共下水道を整備することが最も効果的ですが、この地域は、外かん道路の建設に伴って流域下水道を整備することから、すぐに下水道を普及させることはできません。》
 つまり、春木川流域の下水道整備が進まないのは、外環道(東京外かく環状道路)の建設が遅れているため、と述べているのです。下水道の管渠が外環道予定地に計画されていて、外環道の建設が反対運動で遅れているために、下水道の整備も遅れていると言っているのです。
 これは、外環道を建設したいために下水道整備を“人質”にしているのと同じです。「下水道整備を求めるのであれば、外環道に賛成しろ」ということです。これは詭弁であり、すりかえです。市川市の下水道行政にくわしい方はこんな話をしてくれました。
    《外環道の建設をまたなくても春木川流域の下水道は整備できる。ひとつは、江戸川左岸流域下水道と印旛沼流域下水道の連絡幹線を利用することだ。県や市は、「連絡幹線は、大地震などの非常時のときにしか利用できない」と言っているようだが、それはウソだ。国土交通省は、普段も暫定利用するよう条件をつけて連絡幹線の建設を認可した。》

    《もうひとつは、この地域の下水を既設の江戸川幹線につなぐことだ。さらに、外環道予定地ではなく、既設の市道の下に管渠を通すという方法もある。この3つの方法を組み合わせれば、春木川流域の下水道も整備することが可能だ。》
 要するに、市川市が、大規模公共工事(外環道建設)を最優先させ、生活環境や自然環境を二の次、三の次にしているため、下水道整備が遅々として進まないのです。また、大量の汚濁負荷を海に流入させ、三番瀬や東京湾を汚しているのです。
 そんなことを棚にあげておいて、三番瀬・猫実川河口域の人工海浜化(=埋め立て)構想をブチあげるなどは許されないことです。

(2007年7月) 












河川の水質状況(2005年度)







“全国一汚れた川”となっている春木川。この川は真間川を通じて三番瀬に流入している。








下水道が整備されていないため、大量の生活雑排水が未処理のまま春木川に放流されている。








春木川に流れ込む生活雑排水の浄化施設。その下流で生活雑排水が大量に放流されているため、“全国ワースト1”が続いている。








全国ワースト3の国分川。








真間(まま)川。春木川と国分川は、この川に合流して三番瀬に流れ込む。









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