三番瀬の保全・再生をめぐって討論

〜三番瀬フェスタ2006 PART2〜




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 「本音で語る! 三番瀬〜私にとっての三番瀬」と題した「三番瀬フェスタ2006 PART2」が(2006年)10月28日、船橋市中央公民館でひらかれました。参加者は約50人です。
 主催は、三番瀬フェスタ2006実行委員会と千葉県です。実行委員長は、三番瀬再生会議などで猫実川河口域(三番瀬の市川側海域)の人工干潟化を主張しているK氏(再生会議の公募委員)です。司会もK氏が務めました。
 最初に、県の三番瀬推進室が「三番瀬再生の経緯と取り組み」を報告し、その後に討論に入りました。討論では、三番瀬の現状評価や、保全・再生のあり方などについてさまざまな意見がだされました。


◆「三番瀬をこれ以上つぶさないで」

 三番瀬の保全を求める人たちは、「いまの三番瀬は多種多様な生き物がたくさんいて水質浄化力も大きいので保存すべき」「再生という名で三番瀬をつぶすのはやめるべき」などと発言しました。こんな意見です。
     「東京湾や三番瀬の環境が悪化した最大の原因は埋め立てである。だから、これ以上、三番瀬は埋め立てるべきでない。海をつぶして人工干潟をつくることもすべきではない」

     「“再生”という言葉を辞書で引くと、“死んだものが生きかえること”とある。しかし、三番瀬は死んでいない。ある自民党の県議は、猫実川河口域(三番瀬市川側海域の一部)に生息しているドロクダムシについて、役にたたないものみたいなことを言っているが、ドロクダムシは稚魚の大切なエサになっている」

     「三番瀬はたくさんの生き物がいる。この海をこれ以上減らすべきではないし、海を埋めて人工干潟をつくったりすべきではない。埋め立て地に空き地があるので、自然再生はそういうところでやってほしい」

     「三番瀬は汚(きたな)いという意見もだされている。しかし、猫実川河口域の市民調査に参加してみて、三番瀬は汚い海ではないということを実感した。埋め立てがストップして以降、三番瀬の環境は改善に向かっている。汚いというのなら、何が汚いのか、あるいは三番瀬はどうなっているのかをきちんと調査すべきだ」

     「市川塩浜地区の護岸の前に砂を入れるべきということが声高にさけばれているが、これには疑問をもっている。後背地(埋め立て地)の地権者たちは所有地を提供する考えがないので、いまの直立護岸のままでよいと思う。市川側の直立護岸は、ハゼ釣りやカニ釣りを楽しむ家族連れやたくさんやってくる。市川側はこれでよいと思う」

     「海をつぶしての護岸工事は、“これ以上、海を狭めない”として円卓会議の提言に抵触するし、三番瀬の生態系への配慮がなされていないように思う」

     「河川から汚濁物が大量に流入し、三番瀬に大きな負荷をかけている。だから、流入河川の水質浄化にとりくむべきだ」

     「河川や三番瀬の水質を浄化させるためには、下水道整備がもっと促進することが必要だ。三番瀬に関係する地域の下水道普及率をみると東葛飾地域は70%ぐらいで、船橋市はさらに低い。これをなんとかすべきだ」

     「県が現在進めている流域下水道計画を見直し、それぞれの地域で下水を処理する方式に変更してほしい」

     「流域下水道はいくつもの市町村から下水を1力所に集めて巨大な処理場で一括処理する方式なので、川が“水の流れない川”になってしまう。そういう方式を見直し、“水の流れる川”を復活すべきと思う」

     「三番瀬を保全するためにはラムサール条約に登録することが必要だ。しかし、この3年間、登録に向けた作業はまったくされていない。三番瀬に第二湾岸道路などを通してから登録、という話も聞くが、これはラムサール条約の精神にもとるものである」

     「湾岸地域の交通量は減っているのに、県は第二湾岸道路をつくりたいと言っている。どうしてもつくりたいのなら、三番瀬ではなく、内陸部を通すべきだ」


◆「子どもたちが海に入れるようにしてあげたい」

 一方、猫実川河口域に土砂をいれて人工干潟を造成すべきとしたり、それに類するような意見もだされました。
     「市川市行徳地区の子どもたちは、目の前に海があるのに、それに親しむことができない。こんなさびしい話はない。(塩浜2丁目地先の一部に)傾斜護岸がつくられたが、これは見た目が悪く、子どもたちが海に親しめない。三番瀬再生会議の委員として、なんとか子どもたちが海に入れるようにしてあげたい」

     「今の三番瀬はコンクリートで囲まれていて、山本周五郎作の『青かべ物語』にでてくるような海とは違う。子どもたちがふれあえるような海でなくては仕方ない。ある日三番瀬をみたら、青潮によって、コバルトブルーのような海になっていた。これは死んだ海だ。なんとか昔のようなきれいな海をとりもどしたい」
 以上です。
 討論は、三番瀬の保存を訴える意見のほうがかなり多かったようでした。



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