三番瀬の底力や自然の偉大さを認識すべき

〜第18回円卓会議で大野一敏委員が主張〜




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 三番瀬再生計画検討会議(円卓会議)はいま、再生計画の素案づくりに入り、最終段階を迎えています。ここにきて、市川塩浜護岸の前に砂を投入するということがなしくずし的に決まりそうな雰囲気です。それは猫実川河口域(三番瀬市川側)の人工干潟を目標にしています。
 こうしたなか、円卓会議(親会議)の第18回会合が(2003年)10月23日に開かれました。この会議では、大野一敏委員の意見がすごく印象的でした。
 大野一敏委員は、現役バリバリの漁師です。かつては船橋市漁協の組合長をしていました。いまは東京湾北部巻網事業協同組合や千葉県内湾巻網組合の組合長をしています。その大野委員が専門家会議の報告などに疑問をだしました。
 猫実川河口域の人工干潟化を盛んに主張している磯部雅彦委員(東京大学大学院教授、海岸工学)や石井強委員(南行徳漁業協同組合会計理事)とのやりとりはこうです。


●三番瀬の底力や自然の偉大さを認識すべき
  〜三番瀬はアサリが大量発生している〜

◇大野一敏委員
「この円卓会議の最大の目的は、三番瀬海域の埋め立てをさせないということだ。ここに大きな意味があると思っている。三番瀬ではいま、アサリが大量に発生しているが、こうしたことを県民が理解しなければならないと思う。70〜80歳の漁業者から聞いた話では、今年はかつてない資源だという。20年前もかなりの資源があったが、今年はその比ではないという。こういうことを県民が知ることで、三番瀬の底力というか、自然の偉大さを認識しないかぎり、三番瀬円卓会議の意味はないと思う」

◇磯部雅彦委員
「たしかに今回のアサリの大発生はすごい。しかし、データとしてみれば、1970年代や80年代まではいたっていない」

◇大野一敏委員
「アサリが毎日あがっている。制限をしているほどだ。昨年はアサリが年間1000トンしかとれなかったのに、今年は1月で1200トンもとれる。そして、有明海(九州)とか、北は福島などにも移出している。いま、日本全国のアサリ資源を三番瀬が担っているいっても過言ではない。そういうことを具体的に調べる必要がある」


●埋め立ててしまったら、菜っぱはとれるがアサリは採れない

◇石井強委員
「大野委員が言われるように、三番瀬では何十年も経験したことのないようなアサリの大発生がみられる。また、北は宮城県、南は有明海に全国展開している。しかし、何十年に1回の大量発生があったからといって、三番瀬の自然が復帰したとみるのは安易な考えであり危険ではないか」

◇大野一敏委員
「私は自然が元にもどったなどとはひとことも言っていない。なぜそうなっているのかを早急に調査するとともに、自然に学ぶべきだと言っている」
「それからもうひとつ。三番瀬の海域が残ったためにそういう現象がおこっている。もし、埋め立てられてしまったら、菜っぱはとれるがアサリは採れない。だから、素直に三番瀬の偉大さを知るべきだと思う」

(文責・千葉の干潟を守る会)   






コメント



 大野一敏委員が言っていることはまったくの正論です。三番瀬はいま、アサリがかつてないほど大量発生しています。有明海などに移出するほどです。だから、こうした現状をよく調査するとともに、三番瀬がもつ底力や自然の偉大さを認識すべきと大野委員は言います。つまり、安易に覆砂したり、人工干潟の造成をおこなうべきではないということです。

 しかし、大野委員がこういうことを言うと、きまって漁協代表の委員が水をぶっかけます。「何十年に1回の大量発生があったからといって、三番瀬の自然が復帰したとみるのは安易な考えであり危険ではないか」と言います。
 要するに、三番瀬の自然がかつてより悪くなっているのは間違いないので、かつての状態のもどすために大規模な人工干潟を造成すべきというのです。磯部雅彦委員もまったく同じ考えです。

 ところが、三番瀬に砂を投入して大規模な人工干潟をつくれば、ほんとうに埋め立て前の環境にもどったり、アサリが安定的に大量に採れるようになるのかという疑問にはまったく答えません。全国の事例もいっさい示しません。これは漁協代表委員も磯部雅彦委員も同じです。要するに、論理のすり替えです。

 しかし、こうした磯部雅彦委員らの主張がたいした議論なしに三番瀬再生計画の柱となりつつあります。これは驚くべきことです。





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