「三番瀬への立入禁止はやめてほしい」

 「今ある湿地の保護を第一に」

   〜三番瀬を守る会が円卓会議に意見書〜




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 市川市は、三番瀬市川側の護岸に強固なフェンスやバリケードを設置し、三番瀬への立ち入りを禁止しました。理由は、民間業者に委託して護岸の強度を調査した結果、「数年後に設計基準を満たさない箇所も生じると考えられる」からとのことです。

 しかし、ここの護岸は、市川市と県が1.7億円を投じて補修したばかりです。補修を手がけたある業者は、「最新のコンクリートを使っているので、10〜15年は軽く持つ」と言っています。じっさいに現場をみると、強固なものに仕上がっています。それなのに、市は全面立ち入り禁止にしてしまいました。

 こうしたなか、「三番瀬を守る会」は三番瀬円卓会議に意見・要望書を提出しました。同会は、立ち入り禁止を取りやめることと、三番瀬再生の議論はラムサール条約の湿地復元ガイドラインをもとにしてほしいというなどを要望しています。


 

意見書



意見と要望


2003年9月16日

 三番瀬円卓会議 様

三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝


 三番瀬円卓会議各委員はじめ関係諸氏のご尽力に深く敬意を表します。  さて、円卓会議および各委員会のこの間の議論につき、次のとおり意見と要望を述べさせていただきます。
  1.  市川塩浜1〜2丁目護岸修理工事(約1.7キロメートル)において、市川市および千葉県は1.7億円(1メートル当たり10万円)をかけて修理をしました。
     報告によれば、厚さ50センチメートルのコンクリート板で、中心にH鋼や鉄筋を入れた工法を取っており、15年は十分に持つと工事関係者は述べています。
     前面の腐食した鋼矢板の厚さのみを見て、2〜3年で壊れるという結論を出すのは間違いであると考えます。
     谷津干潟などでは、もっと薄いコンクリート板で20年以上持っています。(市川市の関係者も鋼矢板でなく、コンクリートで支えているので10年以上は十分に持つと述べています。)
     いたずらに危機感をあおり護岸立ち入り禁止にすることは、海と人を遠ざけてしまい、三番瀬の再生に逆行するものだと思いますので、今一度コンクリート護岸の強度について報告をしてほしいと考えます。(できれば別の業者の調査で)。また、「立入禁止」は取りやめてほしいと思います。

  2.  三番瀬の再生の議論は、ラムサール条約の湿地復元の原則とガイドラインをもとに行ってほしいと思います。
     今ある湿地の保全(保護)を第一にすべきであり、浅海域の干潟化(砂浜化)は避けてほしいと思います。

  3.  海岸法に基づく海岸保全区域は現在の護岸に出さず、現状のところでよいと考えます。高さなどの点で、護岸が再生の妨げになると思います。





《参考資料》

  2002年9月 ラムサール条約第8回締約国会議

 決議[-16

湿地復元の原則とガイドライン

 湿地の復元は、生態学的、経済的、社会的に可能であり、湿地保全と協調した復元プログラムは、人間と野生生物双方にとって実質的利益をもたらす。湿地復元が自然湿地の喪失に置き換わるものではないことを認識しながら、湿地復元の原則とガイドラインを、各国の湿地政策や計画に組み入れることを強く促す。この原則とカイドラインは、洪水や干魃(かんばつ)への方策、復元プログラムとその報告、泥炭地復元、河川流域管理、代償措置規定([‐20)、貧困削減、地域社会と先住民の関与、復元湿地の文化的・考古学的重要性、プロジェクト情報の提供、湿地復元の研修、手法とガイダンスについて、活用されるように締約国に対して要請されている。


付属書  原則

  1. 湿地復元の計画と優先度は、復元可能性のある湿地に関する全国的な目録に基づき定められるべきである。
  2. 湿地復元プロジェクトの最終目標、目的、評価基準を明確に理解し提示することは、復元の成功のために非常に重要である。
  3. 注意深い計画により、望ましくない副作用を抑制することができる。
  4. プロジェクトの選択、設計、展開にあたり、自然の変化と現状を考慮するべきである。
  5. 復元の約束と引き換えに、質の高い生息地や生態系を差し出すことは避けるべきである。
  6. 湿地復元計画の適正な最小規模は、集水域レベルとすべきである。
  7. 湿地復元計画は、水の配分原則及び復元が湿地生態系機能の維持の中で果たしうる役割を考慮するべきである。
  8. 湿地復元は公開され、地域住民ら影響を受ける利害関係者が参加するべきである。
  9. 復元は、実施中の管理及びモニタリングも含め、長期にわたる関与を必要とする。
  10. 湿地復元計画は、伝統的資源管理の知識を統合するべきである。
  11. 適応管理の原則は.復元プロジェクトに適用されるべきである。
  12. プロジェクトへの提言、結果及び成功に係る情報は、広く発信され、利害関係者が利用できるようにされるべきである。
  13. 復元は、普及教育、生態系劣化を防ぐ行動と結び付けられるべきである。








市川市は、市川塩浜(三番瀬の市川側)の護岸に強固なフェンスやバリケードを設置し、三番瀬への立ち入りを禁止した








市川市が立ち入り禁止にした塩浜護岸は、市と県が1.7億円を投じて補修したばかり。補修を手がけたある業者は、「最新のコンクリートを使っているので、10〜15年は軽く持つ」と言っている。じっさいに現場をみると、強固なものに仕上がっている。









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