浦安、市川、船橋

  各ワーキンググループのとりまとめ

   〜第14回三番瀬「護岸・陸域小委員会」で合意〜



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 第14回三番瀬「護岸・陸域小委員会」(円卓会議の下部組織)が(2003年)7月17日に開かれ、浦安、市川、船橋のワーキンググループのとりまとめが合意されました。それぞれのとりまとめは以下のとおりです。




浦安ワーキンググループのとりまとめ



〈護岸・陸域の今後の方向性について〉

1.直立護岸ゾーンの検討

 直立護岸ゾーンの護岸については、背後の人と建物を守る強固な構造にすることとし、基本的に海に出さないこととする。ただし、補修などのため、海側に張り出す場合には必要最小限とし、海域への影響が可能な限り少なくなるように留意する。
 また、「水に触れる」親水性については、安全性を考えて全面的に確保するのではなく、スポット的に1、2箇所小段を設けて確保することとする。さらに、子供が海を見ることができる高さの遊歩道を設けることとする。


2.階段護岸ゾーンで後背地が売却済みの部分の検討

 階段護岸ゾーンで後背地が売却済みの部分の護岸については、今の階段護岸のままで手をつけないこととするが、護岸の背後に遊歩道を整備し、直立護岸ゾーン、階段護岸ゾーンで後背地が未・低利用地の部分の護岸とつなげることとする。さらに、子どもが海を見える眺望スポットを設けることとする。なお、遊歩道の整備にあたっては、防犯の観点に留意した構造とすべきである。また、ここでは、海へのアクセスは考えないこととする。


3.階段護岸ゾーンで後背地が未・低利用地の部分の検討

 階段護岸ゾーンで後背地が未・低利用地の部分については、全体として自然度が高い利用を促進することとし、後背地に可能な限り広く用地を確保し、自然再生の試みを行っていくとともに、護岸の前にある自然の干潟と連携した自然環境施設を設けるべきである。


(1)土地の確保等

 土地の確保の方策としては、
  1. 浦安市総合公園の敷地(12.5ヘクタール)の全部または一部と土地を交換する方法。
  2. 高校用地の場所を変更する方法。
  3. 都市計画は変更せず、公団所有の土地(業住融合用地4.2ヘクタール、誘致施設用地2.1ヘクタール)の購入、借地をする方法。
 がある。

 これらの方法に伴うメリット、デメリットを整理して、広く市民に情報提供し、議論を喚起する必要がある。
 さらに、都市公団が当該区域の土地を開発事業者に譲渡する際には、自然度が高く周辺環境になじむような土地利用の方法とする条件で行うよう、都市公団に要望すべきである。


(2)自然環境施設の内容

 自然環境施設には、浦安郷土博物館と連携させつつ、干潟の利用指導の機能、自然体験学習の機能、自然再生の場としての機能を持たせるべきである。
 干潟の利用指導の機能を発揮させるために、利用指導ができる常駐の管理人を置くべきである。
 自然体験学習の機能としては、地元市民をはじめとする広範な人々が海にふれあえるように、環境に配慮した簡易な自然体験のための宿泊施設を設けるなど、魅力あるプログラムが提供できるように工夫すべきである。
 自然再生の場としては、治水上の安全性と地形の安定性に留意しつつ、海と陸との自然的な連続性が確保できるようにするとともに、コアジサシをはじめとした希少種の生息環境の確保にも配慮すべきである。
 なお、この施設に至る交通アクセスを考え、鮭輪・駐車にどのように対応すべきかについてもあわせて検討すべきである。


4.海側の利用のあり方の検討

 干潟の適切な管理のために、利用指導を行う区域を定め、市民参加のもとに利用のルールを作ることが必要である。
 干潟へのアクセスについては、自然環境施設を経由することとするなど、十分な利用指導が確保できるようにすべきである。




市川ワーキンググループのとりまとめ




〈護岸・陸域の今後の方向性について〉


1.護岸・海岸線のあり方

 護岸・海岸線については、次の事項のすべてを満たす形態とすべきである。
  • 現在の海岸線は基本的に動かさないこと
  • 海岸保全区域を現在の海岸線の位置に幅をもった形で設定すること
  • 護岸の高さは海に親しめるような高さとすること
  • 十分な安全性を確保するために、護岸の後ろに胸壁あるいはマウンドを設けて対処すること
  • 構造上、海に張り出す必要がある場合には、海への影響が最小限となるようにすること
  • 遊歩道を設け、区域に応じたバリエーションが豊かな海岸線とするなど、海に親しめるような魅力ある海岸線とすること
  • 市川市所有地付近での湿地再生、猫実川における湿地・干出域の再生など、自然再生の場を確保すること

 このような護岸・海岸線とするためには十分な用地を海岸線に確保することが必要である。まちづくりの際にも以上のような護岸・海岸線が実現するように協力していくことが望ましい。
 また、護岸の老朽化に伴う危険性が指摘されているので、緊急に安全な護岸を整備すべきである。


2.行徳内陸性湿地との連携

 三番瀬と行徳内陸性湿地との自然的な連携を強めることが重要である。このため、行徳内陸性湿地と三番瀬とを開水路などで結びつけていくことや、湾岸道路に蓋かけして自然環境の連続性を持たせることなどを検討すべきである。
 また、市川塩浜駅から三番瀬と行徳内陸性湿地へ、人が歩いていけるようにすることが必要である。このため、湾岸道路をまたぐような歩行者や自転車の専用通路を設けることを検討すべきである。


3.塩浜地区における三番瀬にふさわしいまちづくり

 この地区においては、市川市が「市川市行徳臨海部基本構想」を策定しているとともに、地権者の集まりである市川市塩浜協議会まちづくり委員会が「市川塩浜まちづくり方針」を定めており、これらの構想・方針を尊重しつつ、海と水に親しめるようなまちづくりを進めるべきである。その際、次の事項を実現することが重要である。
  • 行徳内陸性湿地と三番瀬との自然的なつながりを確保していくようにすること
  • 行徳内陸性湿地と三番瀬につながるよう、できる限り自然環境に配慮したまちづくりを行うこと
  • 海域を陸地にしてその上を利用するという意味での埋立ては行わないこと
  • 良好な水循環が確保できるよう、まちづくりや護岸における透水性をできる限り確保すること
  • 訪れる人に対して環境学習の場、人材育成の場となるようなまちづくりを進めること
  • 人が体験できる自然とつながるまちづくりを進めること
  • すべて住居系というようなまちづくりは行わないこと
 その際、地区計画など適切な手法を用いて、三番瀬にふさわしいまちづくりが確実に実現されるようにすることが必要である。


4.環境学習施設・研究施設

 市川塩浜ゾーンに面する市川市所有地付近において、行徳内陸性湿地からの暗渠が三番瀬につながっている。この部分において暗渠を開水路として、陸と海との連続性を復元する方向で湿地の再生を行うとともに、それと一体となった環境学習施設・研究施設を整備するべきである。
 また、この施設には、自然再生事業のモニタリングが行えるような研究施設としての機能と、三番瀬を訪れる人に対して環境学習プログラムや情報を提供するビジターセンターとしての機能を持たせるべきである。


5.漁港の移転・整備

 漁港については、漁場に近く、市川航路を航路として利用できるよう、市川突堤ゾーンに移転し、再整備を検討すべきである。その際、水産用地を早急に陸上に確保することについても検討すべきである。
 また、干潟の再生の観点から、移転によって不要となる人工澪を埋め戻していくことも検討する必要がある。(海域小委員会でも検討)


6.猫実川河口及び河川区間

 猫実川河口部分については、海域の再生の観点から手を入れていくべきという意見があり、生物調査や潮流のシミュレーション結果などをふまえつつ検討することが必要である。(海域小委員会、専門家会議でも検討)
 猫実水門から河口部までの約1200mの区間について、アシ原や干出域を再生するなど自然再生のための実験を行うことを検討すべきである。その際、治水上の安全性を確保しつつ、周辺住民や漁業への悪影響がないものとすべきである。また、結果によっては元に戻せるようなものにする必要がある。




船橋ワーキンググループのとりまとめ




〈護岸・陸域の今後の方向性について〉


1.環境学習の場の検討

 船橋ゾーンにおいては、環境学習が行える建物をつくるだけでなく、海浜公園全体を生態系の学習が出来る場、自然再生の体験学習が出来る場、漁業や港町の歴史・文化が分かる場など、幅広く学べ、楽しめる環境学習の場としていくことが必要である。
 このことから海浜公園全体について、三番瀬の保全、再生と一体となった自然再生を行うという視点で活用を考えることとし、海と陸との連続性、特徴ある学習施設、公園施設などの活用、さらに公園に隣接する企業庁用地での取り組みなども含め、幅広く検討していくことが必要である。
 公園活用の基本的な考え方としては、夏に水遊びが出来、夏以外でも子どもが泥んこになって遊べる、新しい自然学習ができる場、自然体験ができる場など、自然度の高いものでシーズンを通して多くの人が利用できるような工夫をすべきである。
 さらに、淡水の供給が難しいので大きな湿地は作れないかもしれないが、環境学習の場としてのモデル的な湿地を作ることも必要である。
 具体的な施設の活用については、現行施設と温水プール等の遊休施設を最大限活用することとし、今後検討していく中身によっては現在の施設の手直しや取り除くことも含め、さらに検討していく必要がある。
 その際、施設の整備、運営にあたっては、自然を学ぶのにふさわしい施設とすることや、市民参加による運営などについても検討すべきである。
 あわせて、行徳野鳥観察舎、谷津干潟自然観察センター、浦安郷土博物館、県立中央博物館等とのネットワークや、船橋港、ららぽーとなどとの連携も考え、全国に誇れるものになるよう努力する必要がある。


2.人工海浜のあり方の検討

 現在、短期間に多数の人が潮干狩りを行うため、他所からアサリを持ち込んで対応している状況となっている。
 今後、海の歴史と文化を伝えることができるよう、より自然な形の海浜の利用を進めていく必要がある。
 また、千葉市の県立幕張海浜公園前の護岸のように、海浜公園前の護岸の上に盛り土して松林とするなど、海と陸との連続性を復元し、一体性を高めていく。
 その際、景観の構成上重要な役割を果たす植栽については、地域本来の植生を考えた景観作りにつとめることが望ましい。
 あわせて、人工海浜の東浜地区の海浜植物群落については、これを保護育成することとし、この地区を生物保全地区としていく必要がある。
 その際、この地区では生物保護の妨げとなるような浜の利用はなくしていくことが必要である。


3.港湾ゾーンのあり方の検討

 旧航路跡地の港湾ゾーンの護岸の高さは、港湾活動を行うことに通した高さとなっていることから現在のままでよい。
 また、海浜公園との利用や景観の連続性を確保するため、保税蔵置場としての後背地の利用と両立するよう、また、鳥類などへの影響にも配慮しながら、遊歩道や植樹帯を設置すべく検討すべきである。
 旧航路跡地については
  1. 人工海浜を延ばし、海と陸との連続性を確保すべきではないか、
  2. 深い部分は青潮(貧酸素塊)が出ないよう埋めたほうが良いのではないか、
  3. 少しずつ順応的に砂を入れてはどうか、
  4. 防泥柵の切れ目から三番瀬の砂が入り込む構造なので自然に浅くなるのではないか。
 など、砂を入れていくことの議論をした。

 この点については、冬期を中心とする生物相に特に注目しつつ、底生生物、稚魚、鳥などへの影響を考慮し、航路跡地全体について漁業者の意見をききながら検討する必要がある。


4.後背地のあり方の検討

 後背地おける未利用地などを利用し、より広い自然再生の場を確保するため、周辺の企業庁用地(三角地等)の活用を図る必要がある。
 あわせて、企業用地についても敷地を緑化することや雨水の浸透を図るなど、自然度が高まる工夫をしていくよう、企業に協力を求めていくべきである。
 さらに、三番瀬にふさわしい広範囲なまちづくりのあり方については、どのように海を大切にするか、どのように海を活かしていくかという三番瀬の保全、再生の視点で考えていくべきである。
 その際、船橋市が策定した「海を活かしたまちづくり」も参考にしていくべきである。


5.船着場の可能性の検討

 船着場の位置については、
  1. 船橋航路脇で、十分な水深があり、船橋港、ららぽ一とからの海路も確保できる港湾ゾーンの東側が良い。
  2. 公園から近く通路もあり、船橋港、ららぽ一とからの海路も確保でき、市川(塩浜)との連携も図れる西側の突堤の先が良い。
 との大きく分けて2案に絞られた。
 今後、船着き場の検討にあたっては、保税蔵置場脇に通路を確保すること((1)案の場合)や、東浜の生物保全地区に対する配慮を行うこと((2)案の場合)などが必要である。
 また、船の大きさや運航の仕方などの経済面、防災上の安全面、三番瀬の環境面も考慮し検討することが必要である。






 



 

 

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