独立行政法人港湾空港技術研究所の

干潟実験施設を見学




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 2002年1月17日、独立行政法人港湾空港技術研究所(独法港空研。旧運輸省港湾技術研究所。国土交通省所管)の干潟実験施設を見学しました。見学会に参加したのは、「千葉の干潟を守る会」「千葉県自然保護連合」「三番瀬を守る会」「市川三番瀬を守る会」「三番瀬を守る署名ネットワーク」「小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会」「千葉県野鳥の会」のメンバー8人です。

 干潟実験施設は、久里浜湾(神奈川県横須賀市)に面する同研究所の敷地内にあります。実験施設は屋内型です。ガラス張りの建物内部に20平方メートル程度の底泥面を有する3つの水槽が並んでいて、この水槽で実験が行われています。
 同研究所のパンフは、この施設について次のように説明しています。
 「干潟は、多様な生物の生息の場であり、また海の水をきれいにする大切な機能を持っています。この施設は、現地の干潟の一部を切り取って再現したものです。幅8m、長さ9m、深さ1.5mの水槽に現地の干潟の土を入れ、潮汐や波・流れを起こして、人工的な干潟を再現しています。すでに多くの干潟の生物が住み着き、干潟のメカニズムの解明が進んでいます」
 底泥は、東京湾内の盤洲干潟(木更津沖の自然干潟)から運び込み、海水は久里浜湾からポンプで汲み上げ、無処理のまま水槽に流し込んだとことです。実験は1995年(平成7年)1月から運転を開始し、7年が過ぎています。

(注)「独法港空研」については同研究所のホームページをご覧ください。


 以下は、参加者の感想です。
 「干潟のメカニズムがかなり分かる。自然干潟の大切さを教えてくれるので、すぐれた環境教育の場ともなっている。こうした実験の成果が、すでに埋め立てられた場所での環境修復に生かされるのならけっこうなことだ。しかし、いまある干潟や浅瀬をつぶして、そこに人工干潟をつくるために利用するのは絶対に避けるべきだ」

 「国の実験施設にしては規模が小さすぎる。もっと規模を大きくしたり、いろいろな条件を加えるべきだ」

 「底泥部の断面など、実際の干潟では見れないことを観察できて、興味深かった。しかし、施設が屋内なので、雨水が入らなかったり、台風などが考慮されていないなど、かなり限界のある実験施設となっている。つまり、箱庭的な施設となっている」

 「モデル実験の施設としては成果をあげているが、ホンモノの自然との間にはかなり距離がある。こうした実験施設でじっさいの自然現象を再現するのはむずかしいということが、改めてわかった」

 「“温室干潟”という感じで、自然との違いが大きすぎる。河川からの土砂補給がまったく考慮されていないので、あと何年かたてば干潟がどんどんやせ細っていくと思う。ゴカイが生息しているが、底泥表面から2センチぐらいの深さのところで横になって寝そべっている。三番瀬や盤洲干潟など実際の干潟では、ゴカイはもっと深いところに棲んでいる」

 「干潟のほんの一部を切り取って様子を見ているという感じで、人工干潟の実験や研究にはなっていない。マスコミがよく取材に訪れるとのことだが、ここの干潟実験が成功していると受け取られるのは危険なことだと思う」









屋根の大部分がガラス張りになっている建物内部に約20平方メートルの底泥面を有する3つの水槽が並んでいます。干潟実験にかかわっている職員から実験の経過や現状などをくわしく説明してもらいました。








水槽では振幅70センチのノコギリ波が約11時間の周期で与えられています。干潟の断面をガラス越しにみることもできます。









ガラス越しにみえる干潟の断面です。
底泥の上にはコアマモが生えています。
ヨコエビやブドウガイなども生息しています。
底泥の中では、ゴカイが横になって寝そべっていました。






底泥表面から2センチ程度の深さにゴカイが寝そべっています。これは、ホンモノの干潟では見ることができません。









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