三番瀬を守る署名ネットワークが


「事前漁業補償」問題で自治大臣に質問書


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 三番瀬埋め立て計画をめぐり、県企業庁が市川市行徳漁業協同組合に対して、「転業準備金」の名目で金融機関から約43億円を融資させていたことが、昨年(1999年)、明らかになりました。マスコミも「県が実質漁業補償」などと報道しています。
 融資の利息は約56億円に膨れあがっていて、その全額を企業庁が肩代わりすることになっています。同庁は利息分56億円を今年度2月補正と来年度当初予算案に計上しましたが、この問題は、埋め立て計画が定まっていない段階ですでに漁業補償が行われたということを示しており、重大です。
 三番瀬を守る署名ネットワークはこの問題で2月25日に自治省を訪れ、質問書を提出しました。  質問書の内容は、以下のとおりです。


 

自治大臣あての質問書





2000年2月25日  

 自治大臣 保利耕輔 様

三番瀬を守る署名ネットワーク  
代 表  大 浜  清    



東京湾「三番瀬」の埋立計画をめぐる「転業準備資金」についての質問書

 貴職の地方自治の充実・発展のための日頃からのご活動に対し、心から敬意を表させていただきます。
 私達は、東京湾に残された貴重な干潟・浅海域である「三番瀬」を保全するために活動を続けている市民団体であります。
 さて、昨年11月の新聞報道により、千葉県企業庁が計画中の市川2期地区計画(三番瀬西部)に関して、1982年に「転業準備資金」の名目で、実質的な事前漁業補償が行われていたことが発覚しました。すなわち、千葉県企業庁、金融機関、市川市行徳漁業協同組合の三者の間で
  • 金融機関が当該漁協に対して約43億円を融資する
  • 企業庁は金融機関に対して融資額の約半額を預託する
  • 漁協が金融機関に対して支払うべき利息については企業庁の負担とする
  • 埋立計画が確定し漁業補償を行うべきところとなった時点で、上記融資額をもって漁業補償金に充当する
 といったことを骨子とする合意書が作成され、融資等が実施されました。
 また、企業庁が漁協に肩代わりして負担すべき累積利息が、今日までに約56億円にものぼることが明らかになりました。そして、近時千葉県および企業庁が明らかにしたところによりますと、この累積利息を処理するための支出を、2月補正予算および来年度当初予算に計上するとのことであります。
 この「転業準備資金」が事実上の事前漁業補償であることは、千葉県企業庁のこれまでの説明や金額の算定方法(融資額は漁場価値から算出)等からみて明らかであります。そして、いくつかの観点からして、極めて違法性の強いものと考えております。
 そこで、地方自治を統轄するお立場にある貴職に対して、下記について質問を致し、ご見解を明らかにしていただきたく、本書面を差し上げるものであります。


  1. 埋立計画もなく、埋立面積も全く明らかでない時点で、漁業補償を行うことは、漁業法その他関係諸法令に照らし、違法な行為と考えますが、貴職のご見解はいかがでしようか。
  2. 県企業庁が、将来発生する利息がいくらになるか全く不明なまま利息負担を約した契約を結んだことは、地方財政法、地方公営企業法等の関係諸法令からみて違法な行為であると考えますが、貴職のご見解はいかがでしようか。
  3. 将来補償金を支払うという合意は、債務負担行為であり、予算に明記する必要があります。
     本件の場合、予算に明記されていないことは上記諸法令に照らし違法行為であると考えますが、貴職のご見解はいかがでしようか。
  4. 今日までに累積利息が約56億円となり、元本を上回る額にのぼっております。これは地方財政法4条1項にいう「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえて、これを支出してはならない」との規定ならびにその本趣に著しく違背するものと考えますが貴職のご見解はいかがでしようか。
  5. 県企業庁職員の説明によりますと、毎年発生する利息の債務引き受けについては「継続費」として処理しているとのことでありますが、「臨海地域土地造成整備事業」として一括して計上されており、本件の関連費用がいくらであるかが全く不明であります。
    これは、地方公営企業法等関係諸法令が定める事業名、総額、年度および年割額の予算上の明示義務等に違背するものと考えますが、貴職のご見解はいかがでしようか。
  6. 千葉県並びに企業庁は、これまでの累積利息を予算に計上し、支出することにしておりますが、この点に関し、貴職のご見解をお聞かせください。
  7. 最後に、地方自治を統轄する立場におありの貴職として、以上の問題につき千葉県並びに県企業庁に対し、指導等をされるお考えがあるかどうかをご教示ください。

以上







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