干潟を埋めて森林公園をつくることが

 温暖化対策だって!?

   〜次期県知事選立候補表明県議が主張〜

千葉県自然保護連合事務局


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 三番瀬保護団体が2007年12月8日に開いた講演会「すばらしき泥! 泥干潟」で立花さんはこう発言しました。
    《2009年春に千葉県知事選挙が予定されていて、先日、ある自民党県議が知事選に立候補を表明した。新聞でも報道されたが、彼は「三番瀬埋め立て計画白紙撤回の撤回」を最大のスローガン(公約)にすることを表明している。12月5日の県議会で、彼は次のようなことを主張した。三番瀬・猫実川河口域の泥干潟を埋め立てて木を植え、「三番瀬県民の森と渚公園」をつくる、これが温暖化対策だ──と。こういうことが県議会で堂々と主張されていることを重視すべきだと思う。》
 12月5日の県議会で発言したのは自民党のN議員です。
 N議員は三番瀬・猫実川河口域の泥質干潟を一度も見たことがないのに、「ヘドロ状態」などと言います。
 しかしここは、ヘドロ状態どころか、三番瀬で最も生物相が豊かな海域です。現に、県の生物調査でも、動物196種、植物15種が確認されています。そのなかには、エドハゼ、ヤマトオサガニなど、県レッドデータブックに掲載されている希少種も、11種が含まれています。
 そんな大切な干潟・浅瀬を埋め立てて森林公園をつくるべきと言うのです。立花さんが言うように、世界のモノ笑いになるようなことが県議会で堂々と主張されているのです。とくとご覧ください。

 以下は、N議員が猫実川河口域についてふれた部分です。




《平成19年12月定例千葉県議会 ビデオ録画より》

平成19年12月5日(水)【一般質問】N議員(自民党)の発言より(要旨)


 私は先日、次期知事選候補の選考対象の一人に加えてほしいということを、自民党県連に対して文書で依頼した。
 私が真っ先に実現したいことは、三番瀬埋め立て計画の白紙撤回の見直しである。
 猫実川河口域(三番瀬の市川側海域)はまさにヘドロ状態である。
 いま、地球温暖化が人類の生存にかかわる深刻な問題となっている。したがって私は、猫実川河口域を約100ha前後にわたって、すべて森にする。そして海岸線を砂浜にして、「(仮称)県立公園三番瀬県民の森」と「渚公園」にすべきと考えている。

 地元の漁師も、「猫実川河口域は魚もアサリも採れず、海の中に入ると腰までヘドロにつかって身動きがとれず危険であるから、ぜひ埋め立ててほしい」と言っている。また、
  • 浦安には森がないこと
  • 温室効果ガス抑制のうえからも効果が期待できること
  • 船橋や市川など葛南地域の住民一人あたりの公園面積が非常に少ないこと
  • 砂浜には海水を浄化する能力があるので漁業の振興にもなる
 からである。

 温暖化を少しでも遅らせ緩和するためには、森林の保全、森の保存ということがとても大切である。
 いま、房総の豊かな森は人手不足のために荒廃しつつある。一方、松戸市や柏市などの都市部の貴重な森は開発によってどんどん失われてきている。

 したがって私は、緑を守り育てる新税、つまり他県でいうところの森林環境税を1世帯あたり年500円徴収すれば約10億円の財源ができるので、これによって房総の豊かな森を保全し、都市部の貴重な森を保存すると同時に「三番瀬県民の森と渚公園」の財源の一部にあてたいと考えている。
 またこれによって、わずかではあるが雇用の機会を創出することにもなる。





《コメント》
 いま房総半島では、羽田空港拡張用として3000万立方メートルにおよぶ山砂が採取されています。そのため、山々がズタズタに削られています。
 また、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)や成田新高速鉄道・北千葉道路などの大型公共工事、さらにマンション開発などで希少生物の生息地や谷津田、里山がどんどんつぶされています。
 それらを推進したり容認している議員が、「温暖化対策」や「森林の保全」をあげて貴重な干潟・浅瀬の埋め立てを主張するのです。いったいどうなっているのでしょうか。

(2007年12月)








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