三番瀬護岸改修工事の真の目的

〜“大坂城の外堀”と同じ〜

公共事業と環境を考える会


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 東京湾奥部に残る貴重な干潟・浅瀬「三番瀬(さんばんぜ)」は、2001年9月の埋め立て計画白紙撤回で“守られた”と思われていますが、そうではありません。「三番瀬再生」という名の新たな公共事業が進められているのです。


●護岸工事は“埋め立て”の布石

 いま進んでいるのは、市川市塩浜地区の護岸改修事業です。これは、貴重な生物が生息する浅海域の一部をつぶしての石積み護岸改修工事です。
 この工事について私たちは、ずっと以前から警鐘を鳴らし続けてきました。こんな指摘です。
     「猫実川河口域の人工干潟化(=埋め立て)をめざすための布石であり、“大坂城の外堀”と同じ」

     「とりあえず一部で石積み傾斜護岸をつくり、“これでは市民が海に触れあうことができない”“三番瀬の再生にならない”などの声をどんどん出させ、人工干潟造成にもっていきたいと考えている」
 たとえば、三番瀬円卓会議が「三番瀬再生計画案」を議論していたときは、こんなことを言い続けました。
     「県は、なんとしてでも猫実川河口域を埋め立てて、第二湾岸道を通しやすくするという意図をもっている。市川塩浜護岸を改修して石積み傾斜堤をつくり、その前面海域に大量の砂を投入するというのは、その突破口である」

     「(円卓会議がまとめた三番瀬再生計画素案には)市川塩浜護岸の前面海域に土砂を投入することが書かれている。これは、猫実川河口域をつぶすための布石であり、序章というべきものである。堂本知事が三番瀬のラムサール条約登録に消極的(否定的)なのも、第二湾岸道の建設を最優先させているからだ」


●推測どおりの展開になっている

 その後の事態をみると、私たちの推測どおりの展開になっているようです。
 先日の『東京新聞』千葉版(2007年3月4日)は、市川塩浜護岸改修工事(実施中)をとりあげ、「自然の再生や人が海とふれあう面で課題も残る」などと書いています。
 護岸改修の方法などを検討している県の諮問機関「市川海岸塩浜地区護岸検討委員会」委員のこんな意見も載せています。
     「完成形を造ってしまうと後戻りできない。波に対する安全を確保した上で、捨て石の部分でさまざまな提案を試みることも可能だ。その時間は2、3年は残されている」

     「護岸の整備を通して、どのような生物がすめる環境を目指すか、どのように人が三番瀬と親しめるようにするかという明確な目標が定まっていないため、このままでは石積みの護岸が延びるだけになってしまうおそれがある。議論を深める必要がある」
 これらの意見は、県の意向に沿ったものと思われます。
 つまり、とりあえず一部で石積み傾斜護岸をつくり、「これでは市民が海に触れあうことができない」「三番瀬の自然再生にならない」などの声をどんどん出させて、護岸改修を猫実川河口域全体の人工干潟造成に発展させていこうとするものです。
 こういうネライをしっかり見据えることが必要だと思います。

(2007年3月)













市川塩浜護岸改修の工事前


捨石の均(なら)し


工事終了後






第二湾岸道の予定ルート








県は、「再生」という名で三番瀬埋め立て計画の復活をめざしている。
その目的は第二湾岸道路を猫実川河口域に通すことである。
「三番瀬再生」という名で人工干潟を造成する際に
沈埋(ちんまい)方式などで道路を埋め込む、というのが県の考えと言われている。
人工干潟の下に道路が隠れるので、
「三番瀬再生」と第二湾岸道は整合するというわけである。







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