★三番瀬を未来に残そう


清水環境庁長官「人工干潟肯定発言」のてん末

〜県企業庁の姑息ぶりを露呈〜

公共事業と環境を考える会



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●「人工干潟肯定発言」をめぐって

 (1999年)10月21日、清水嘉与子環境庁長官が大臣就任後初めて三番瀬を視察し、県が三番瀬の埋め立て予定地の地先に計画している人工干潟について、「(ヘドロなどの)今の状況を考えると、ある程度はやらざるを得ない」などと述べ、これまで環境庁が否定的だった人工干潟の造成に肯定的な姿勢を示した。
 この発言について、県企業庁は「画期的なことだ」「人工干潟の造成を進めるうえで非常にはずみになった」などと述べ、大喜びした。
 一方、埋め立て計画の撤回を求める自然保護団体はこの発言をきびしく批判した。「千葉の干潟を守る会」の大浜清代表は、「これまでの三番瀬問題を理解されているのか疑問だ。人工干潟は成功例がないということや、藤前干潟の問題で名古屋市の人工干潟計画を否定するなどの環境庁の研究をふまえていない軽率な発言で、干潟保全の動きを数年逆戻りさせるものだ。近々、長官にお目にかかって真意をうかがいたい」と述べた。
 また、多くの自然保護団体や自然保護愛好家などが、環境庁長官に対して抗議や申し入れの文書などを送った。
 そして、翌日の22日、清水長官は記者会見で、人工干潟造成について、「従来、環境庁はできるだけやめてほしいと言っており、県の専門家の検討を待ちたい」と述べ、前日の肯定発言を撤回した。


●「肯定発言」の仕掛け人は県企業庁

 以上のいきさつの裏には県企業庁の姑息な仕掛けがあった。
 実は、21日は、清水長官は幕張メッセのモーターショーを見学することになっていたのだが、県の強い要請で当日の早朝に急きょ、三番瀬を視察した。企業庁の幹部は、三番瀬問題などについてあまり知らない清水長官に対していろいろと悪知恵をはたらかせた。市川市長にヘドロを見せさせ、「三番瀬はこんなにひどく汚れています。だから、人工干潟造成はやらざるをえません」と説明した。そして、清水長官に、「そんなに汚れているのなら、人工干潟造成もやむを得ない」と言わせた。各社の新聞記者も同行させており、この発言を聞いた記者たちは、いっせいに夕刊で「清水環境庁長官が人工干潟造成を肯定」と書いた。
 他方、環境庁の環境影響審査室などはこの発言に戸惑ったという。それで、急いで、清水長官に環境庁のこれまでの姿勢や対応などをレクチャーした。その結果、一転して人工干潟肯定発言の撤回となったわけである。21日の長官発言で、「計画どおりにうまくいった」と大喜びした県企業庁の幹部たちは、撤回発言でがっかりした。
 わずか1日で「肯定発言」を撤回した清水長官は、面目丸つぶれである。しかし、新長官をだましてまで三番瀬埋め立てを強行しようとする県(企業庁)の罪は重い。

(1999年10月)   






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