★三番瀬を未来に残そう


正念場を迎えた「三番瀬」


公共事業と環境を考える会






 三番瀬埋め立て問題は、いよいよ大きな山場を迎えました。
 県は6月、三番瀬保全運動に押されて、埋め立て面積を740ヘクタールから101ヘクタール(このほかに、人工海浜造成を60〜70ヘクタール)に縮小しました。しかしこれは、谷津干潟の2.5倍に相当し、埋め立て計画が撤回された藤前干潟(名古屋市)の2倍を上回るという大規模なものです。
 当然のことながら、この縮小計画についても、環境保護団体などが異議をとなえ、撤回運動を展開しています。環境庁も再検討を迫っています。埋め立て計画の白紙撤回を求める署名が20万を超えたことに示されるように、県民世論も「ノー!」です。県職員労働組合のアンケート結果では、県職員も大半が「計画の中止・見直し」を望んでいます。
 そもそも、6月19日開催の計画策定懇談会で土地利用の必要性を疑問視する意見が相次いだように、この埋め立て計画はまったくの不要不急です。
 たとえば、“目玉”となっている下水処理場は、三番瀬には絶対につくってはいけない施設です。
 第1に、県の補足調査によれば、三番瀬の水質浄化能力は、下水処理場に換算すると13万人分の生活排水浄化力に相当します。それをつぶして処理場をつくるのは、たいへんな環境破壊であり、ムダなことです。
 第2に、三番瀬は地盤がかなり悪いので、金がかかりすぎます。
 第3に、防災上からみても問題です。阪神・淡路大震災では、埋め立て地につくられた処理場が液状化で大打撃を受けました。
 そして第4に、“水循環”の流れに逆行することです。河川の流量が減少し、水資源確保や河川の水質悪化が大きな問題になっていることから、今は建設省さえもが、下水処理水を河川にもどすという「水循環再生」を強調しています。広大な区域の下水をかきあつめて埋め立て地の大規模な処理場で処理し、その処理水をいっきょに海へ放流するという県の計画は、こうした水循環再生の動きに逆行するものです。
 この下水処理場については、環境保護団体が県に対案を提示しました。@計画を3分割し、上流、中流、下流域にコンパクトな終末処理場を建設するなど、水循環再生の考え方で見直しを。A時間をかけて計画の根本的見直しを。B第一終末処理場として都市計画決定されている地区での用地取得に再度努力を−−というものです。
 この提案は、かなり道理があります。たとえば、真間川の上・中流域に小規模な処理場をつくれば、金も比較的かからないし、都市河川などの流量増加や水質浄化にも役立ちます。県は、印旛沼流域下水道花見川第二終末処理場(千葉市美浜区)の処理水を延々とポンプで圧送して真間川水系や海老川に放流することを計画しています。しかし、下水処理場を三番瀬でなく真間川上流域につくれば、こんなことをせずにすみます。
 要するに、三番瀬の埋め立て計画は、環境を大規模に破壊し、莫大な税金をムダづかいするだけで、県民にとっていいことは少ないということです。
 しかし、県は、埋め立てを強行する方針を固めました。沼田知事は来年2月に6選出馬の表明をする予定で、それにあわせて各種の諮問機関の審議日程を組んだ、といわれています。要するに、沼田知事が次期も知事をやらせてもらうために、土建関連企業が潤う巨額工事(三番瀬埋め立て)を強行するというのが、本当のところなのです。このように、利権や私利私欲のために大切な三番瀬をつぶすのはやめさせましょう。

(1999年10月)   






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